本誌は、倫理方針として日本医学会日本医学雑誌編集者会議、Committee on Publication Ethics(COPE)、International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE)ほかの勧告を参照し、科学技術情報流通技術基準(SIST)に基づいた誌面づくりを心がけています。
また、発行元の克誠堂出版(株)は、自然科学書協会、日本医書出版協会、全国医書同業界に加盟し、日本国内における医書出版業界の発展と維持に努めています。

研究不正

本誌における研究不正とは、米国科学技術政策局(OSTP)の定義(外部サイト)(すなわち、「捏造」「改竄」「盗用」)に加え、学問の信頼を損ねる行為や出版リソースに損失を生じる行為としての「法律違反」「ヘルシンキ宣言の無視」「COIの秘匿」「二重投稿」「著作権の侵害」などを含みます。

捏造

読者を欺くために、架空のデータや結果をつくりだし、それらを報告する行為。

改竄

レポートの結論を支持、あるいは反証するために、研究結果の一部を改変または削除する行為。
近年では画像の処理が容易となり、全体的で一様な明度や色彩の調整に限ってはその必要性も認められつつありますが、その処理は学会によって一般的に認められているソフトウェアと操作によってなされなければなりません。特別な処理が施された場合には、それに用いたソフトウェアと操作を明記する必要があります。また、原図の提出を求められた際には、ただちに応じなければなりません。

盗用

他者のアイデアや研究を、出典を明記することなしに、あたかも自分のものであるかのように使用する行為。
仮に以前の自分の著作物からの引用転載であったとしても、後述の二重出版にあたるおそれがあるため、注や文献の記載を省くことはできません。

法律違反

その研究が動物や人間を対象とする場合、著者はその地域の法律を遵守しなければなりません。また、所属施設の承認を得るとともに、動物実験実施規定に準拠して行われたものであることを、承認番号とあわせて本文に記載しなければなりません。
薬物や機器に関する臨床研究については、適切なかたちでの患者・被験者の承認、ならびに所属施設の承認を得るとともに、その旨を承認番号とあわせて本文に記載しなければなりません。

人を対象とした前向き介入臨床研究については、被験者からのインフォームドコンセントの取得、ならびに倫理委員会の承認としかるべき登録サイトへの登録を済ませ、その旨をそれらの承認番号と登録番号とあわせて本文に記載しなければなりません。

ヘルシンキ宣言ほか

人を対象とする医学系研究は、世界医師会による最新のヘルシンキ宣言に示された倫理規範を遵守してください。
日本国内においては、文部科学省および厚生労働省が提示する「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」「遺伝子治療臨床研究に関する指針」などの各種指針を遵守してください。
症例についての報告がレポート中に含まれる場合には、プライバシーの侵害とならないよう、患者本人(または、必要に応じて保護者など)からインフォームドコンセントを取得し、本文中にもその旨を記載してください。

利益相反(COI)

利益相反が存在していると、著者にその意図がなかったとしても、研究結果にバイアスを生じるおそれがあります。そのため、著者は自身の有する利益相反について本文中で読者に開示し、注意を喚起する必要があります。
利益相反として、具体的には、研究の資金や資材の提供、講演等に対して支払われる謝礼や旅費、企業への雇用、株式の保有、特許料などを含みます。また、本人に限らず、配偶者や収入・資産を共有する者がこれらに該当する場合にも、申告する必要があります。
その他、上記に限らず、研究結果になんらかのバイアスを生じる可能性を感じる事由があれば、本文中に明記し、あるいは編集委員会のアドバイスを求めるようにしてください。

二重投稿、二重出版、サラミ出版

二重投稿
他誌に投稿中で、採否の結果がまだ出ていない著作物については、本誌に投稿することはできません。リジェクトの結果が出たものについてはその限りではありませんが、かならず以前に投稿した雑誌の著作権を侵害していないか確認するようにしてください。
二重出版
他の雑誌、書籍、あるいはウェブサイトで発表済みの著作物については、本誌に投稿することはできません。
ただし、複数の雑誌に掲載する価値があることが認められ、双方の編集者から許諾を得るなどの条件を満たした場合に限り、二重出版が認められることがあります(条件はICMJEの勧告に基づく。詳細については、読み物「なぜ二重投稿・二重出版してはいけないの?」を参照のこと)。
なお、学会発表等で作成した抄録やポスター発表などの予備的報告を最終報告としてまとめ直したものについては、未発表の報告として扱われ、投稿することが可能です。
サラミ出版
1つの研究成果として報告可能な成果について、多数の小さな研究に分割して報告してはなりません。

著作権の侵害

著者は、著作権法の定める範囲において、学術目的のために他者の著作物を権利者の許諾なしに二次利用すること(=引用)が可能です。
引用の範囲を超えた使用(=転載)の場合には、権利者(原著者ならびに版元)の許諾が必要です。申請にあたってはこちらのフォーマットを利用すると便利です。
引用と転載、ならびにその許諾の必要性については、読み物「引用と転載の違いとは?」「転載許諾はなぜ必要?」で解説しています。

研究不正を疑ったときには

本誌で発表済みの報告に関し、もし研究不正を疑った場合には、編集部または編集委員会に申し立てを行ってください。
疑義申し立て、ならびに報告の訂正と撤回の方針については、「出版ポリシー」を参照してください。

 

更新履歴
2019年7月9日 公開