ヒアルロン酸注入治療安全マニュアル 改訂第２版
必須の知識と事故対策
４月上旬発売！
ヒアルロン酸製剤の中には安全性・有効性が不明な未承認品も数多くあり，また一定の割合で不幸にも失明事故や皮膚壊死などの重篤な有害事象が発生している。本書の初版発刊時（2018年）からヒアルロン酸注入治療に関する医学情報は増え，合併症への考え方なども大きく変化した。改訂第2版ではわが国を代表する注入治療の専門医が筆者に多数加わり，最新かつ，より実践的な内容となった！
■ヒアルロン酸安全対策【クイックマニュアル】 大慈弥裕之／ⅱ
■改訂にあたって ／ⅳ
■初版序文 ／ⅴ
Ⅰ 注入前のポイント
1. 診察のポイント 兵頭 徹也／ 2
2. インフォームド･コンセント 西田 美穂，白川 敬裕／ 6
Ⅱ 注入時のポイント
1. 必要な解剖知識―顔面の層解剖，
主な血管と推奨注入層，Danger zone 牧野 太郎／12
2. 使用する材料と準備 古山 恵理，古山 登隆／24
3. 注入の実際 古山 恵理，古山 登隆／28
Ⅲ 注入後のポイント
1. 注入直後の観察 兵頭 徹也／34
2. ヒアルロニダーゼについて 土屋すなお／38
Ⅳ 合併症・不満足結果への対策
1. 軽～中等度の合併症①早発性合併症
朝日林太郎，波多江顕子，入江 陽香，衞藤 明子／50
2. 軽～中等度の合併症②遅発性合併症
朝日林太郎，西田 美穂，衞藤 明子／58
3. 重度の合併症①皮膚循環障害・皮膚壊死 當山 拓也／66
4. 重度の合併症②失明事故（眼障害）概論
野田 実香，大慈弥裕之，西田 美穂／76
5. 重度の合併症③失明事故対応の実際
野田 実香，西田 美穂／86
【Reference materials】球後注射の手順 牧野 太郎／91
【Comment】失明事故を生じた際の初期対応について
原岡 剛一／96
6. 重度の合併症④脳梗塞 衞藤 明子／98
7. 不満足結果（Ｏverfilled syndrome） 加藤 聖子／102
Ⅴヒアルロン酸製剤注入治療における法的な視点・アドバイスＱ＆Ａ
法的責任の有無は？ 白川 敬裕／112
Ⅵ 知っておきたい関連知識
1. ヒアルロン酸製剤と注入治療の歴史・変遷 古山 登隆／122
2. 最新のカニューレ注入法 古山 登隆／126
■索引 130
■編者紹介 131
改訂にあたって
初版「ヒアルロン酸注入治療 安全マニュアル」は，2018 年10月に発行しました。ヒアルロン酸製剤注入治療は，世界美容外科学会（ISAPS）や日本美容外科学会（JSPAPS）の統計を見ても，今やボツリヌス毒素製剤治療と並んで非外科的美容医療の中心となっています。一方で，ヒアルロン酸注入治療後の皮膚壊死や失明などの重篤な合併症も続いていて，患者や医療者を不安にさせる大きな要因となっています。
初版発刊後，ヒアルロン酸製剤注入治療の合併症に関する文献も増え，治療に対する概念も変わってきました。初版では失明事故への対策としてヒアルロニダーゼの球後注射を推奨していましたが，現在ではむしろ推奨しないとする意見が多くなっています。また，注入治療後のOver filling syndrome も問題視されるようになってきました。
そこで改訂版では，内容を最新の情報にアップデートすることにしました。ヒアルロン酸製剤注入治療について豊富な経験と知見をもつ古山登隆先生に編集に加わっていただき，執筆者としても幅広く専門家に加わってもらいました。さらに眼科領域の専門家として野田実香先生に加わっていただきました。
本書を活用することで，ヒアルロン酸製剤注入治療による不幸な事故が少しでも減少することを願っています。執筆にご協力賜った皆様に，心より感謝申し上げます。
2024 年3 月
大慈弥 裕之
北里大学形成外科･美容外科 非常勤講師
NPO 法人自由が丘アカデミー 代表理事