所見(こたえ)は1つとは限らない! 複数所見の心電図33問
スキ間で極意・問題編2!! 

著者 上嶋 健治
ISBN 978-4-7719-0528-3
発行年 2020年
判型 B6
ページ数 225ページ
本体価格 3,300円(税抜き)
電子版 あり
医書.jp<電子版>
M2Plus<電子版>

2020年2月14日発売!! 「従来の心電図問題集は1問1答形式。けれど、現実の心電図は所見が1つとは限らない」この著者の気づきが、新しい問題集を生み出しました。スキ間で極意シリーズ最新作!

序文に代えて
 2017年にご縁を頂いて、『スキ間で極意!!いつでもどこでも心電図判読88問』という心電図の問題集を上梓することができました。
その後、問題集だけでは必ずしも十分ではなく、心電図判読のための最低限の知識やスキルの習得のための教科書も必要と、2019年には『スキ間で極意・学習編!!心電図プロの見方が面白いほど見える本』という教科書も上梓されました。
いずれも、従来の堅苦しいイメージを払拭した医学書と一定の評価を頂き、これで一段落と思っていましたが、出版社の方々とお話をしているうちに、重要なことに気づかされました。
 すなわち、『スキ間で極意~』も含めて従来の問題集の多くは1問1答形式で、1枚の心電図から1つの所見を確認していくように書かれています。
実際、期外収縮や脚ブロックなど、一瞥しただけで確認できる所見があります。
しかし、そのような「目立った所見」を「発見」してしまうと、それだけで満足してしまって思考停止に陥り、さらなる所見の追求を怠ってしまいます。
これでは目立たないが重要な心電図所見を見逃しかねない危惧があります。
これは、何とかしたいところで、1枚の心電図から見落としなく複数の所見を確認し、さらにはその臨床的意義にまで思いを馳せることができるような、そんな問題集を作れないかと考えました。
そのような経緯で生まれたのが本書『スキ間で極意・問題編2!!所見(こたえ)は1つとは限らない!複数所見の心電図33問』です。
 実は、この発想の元には、「英単語の覚え方」にありました。
英単語の記憶法も、辞書を引いたり、単語帳を作ったりと単語単位で記憶していく方法があります。
一方で、複数の英単語から構成された英文を覚えることで、単語力を増強させる方法があります。
一般的には、1語ずつ覚える単語帳方式に比べて、文章方式の方が時間はかかりますが、単語同士の関連(○○という動詞は不定詞を取るが、△△という動詞は動名詞を取るといった約束事)が自然に身につくと言われています。
本書はこれと同じように、複数の所見を有する1枚の心電図記録を読み込むことで、「右脚ブロックを見れば軸偏位を見る」、「心室頻拍を見れば脚ブロックパタンを見る」、「不整脈を見ればP波を探す」といった所見同士の関連や注意すべきポイントを理解し、見落としのない判読技術が自然に身につくようにとするものです。
 今回も過去の拙著と同様のコンセプトで、文体と内容に一貫性を保たせるために単著にこだわりました。
そのため、今回も相応しい心電図を著者1人では収集することができず、多くの先生方から心電図のご提供を頂き、また、ホームページからの図表の転載許可も頂きました。
勤医協中央病院の鈴木隆司先生、京都下鴨病院の山下文治先生、武田病院健診センターの桝田出先生、JA広島総合病院の藤井隆先生、心臓病看護教育研究会会長の市田聡先生には、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
同時に、克誠堂出版編集部の吉原成紀さんからは、著者の独りよがりや思い込みを正す建設的なご助言を数多く頂きました。
すべて読者視点に立つ非常に有難いものでした。
 最後になりますが、本書が心電図の判読に携わる方々のお役に立ち、前著ともども心電図判読の一助にご活用頂ければ望外の喜びです。
宜しくお願い申し上げます。

2019年11月 底冷えの近づく京都にて
上嶋 健治