眼瞼・眼窩・涙道の外科
スグに役立つ基本知識~高度技術

眼瞼・眼窩・涙道の外科

編集 細川 亙・垣淵正男・不二門 尚
著者 細川 亙・垣淵正男・不二門 尚
ISBN 978-4-7719-0479-8
発行年 2017年
判型 B5
ページ数 232ページ
本体価格 13,000円(税抜き)
電子版 あり
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眼瞼・眼窩・涙道はどの診療科が担当する部位なのか?

眼形成外科の「広く深く」を欲張りました。

●序文(細川 亙)
1.手術に役立つ解剖と生理(細川 亙・不二門 尚)
眼瞼の解剖生理/眼窩の解剖生理/涙器の解剖生理/編者のヒトコト
2.胎生発生と先天性疾患(眼瞼下垂症を除く)(吉岡直人)
先天奇形発生に関する基本的事項/眼瞼・眼窩の発生/眼瞼・眼窩の先天性疾患/編者のヒトコト
3.先天性眼瞼下垂症(冨田興一・細川 亙)
診断と手術時期/術式の選択と基本手技/編者のヒトコト
4.後天性眼瞼下垂症(垣淵正男)
後天性眼瞼下垂症の診断/インフォームドコンセント/各疾患の治療方針/手術方法/編者のヒトコト
5.眼瞼内反症・睫毛内反症(福田健児)
退行性下眼瞼内反症・睫毛内反症/退行性下眼瞼内反症に対する著者の方法/
退行性上眼瞼内反症・睫毛内反症/瘢痕性内反症・睫毛内反症/編者のヒトコト
6.眼瞼外反症(藤田和敏・垣淵正男)
各種眼瞼外反症の原因/治療法/編者のヒトコト
7.甲状腺眼症・眼瞼後退(藤原敏宏)
疫学/病因/症状/検査/保存的治療/外科的治療/編者のヒトコト
8.顔面神経麻痺(松田 健)
眉毛・額/上眼瞼/下眼瞼/側頭筋移行術(Gillies-Andersen法)/編者のヒトコト
9.涙道閉塞・涙道再建術(眞野福太郎・大江雅子)
疾患各論/診療の実際/トラブルシューティング/編者のヒトコト
10.眼瞼・眼窩腫瘍(久保盾貴・相馬剛至)
眼瞼腫瘍/眼窩腫瘍/眼表面の腫瘍性疾患/編者のヒトコト
11.眼窩骨折(中井國博)
眼窩骨折/眼窩骨折の種類/症状/診断/手術適応/術式/眼窩壁再建材料/術後管理/編者のヒトコト
12.眼瞼の外傷(髙木誠司)
眼瞼裂創(涙管の損傷は伴わない)/涙小管断裂/熱傷・化学損傷/ドレッシング材や創処置について/編者のヒトコト
13.眼窩再建・義眼床再建(曽束洋平)
解剖・名称/眼窩再建/義眼床/義眼床の長期経過/編者のヒトコト
14.眼瞼再建(河合建一郎)
眼瞼の解剖/術式の選択/その他/症例/編者のヒトコト
15.眼窩骨切り(西本 聡)
眼窩上壁骨切り/眼窩外側壁骨切り/眼窩下壁骨切り/眼窩上・外側壁骨切り(fronto-orbital advancement)/眼窩外・下・内側骨切り(Le Fort III型骨切り術)/眼窩全周骨切り術(box osteotomy)/編者のヒトコト
16.眼球陥凹(清家志円)

おわりに(垣淵正男)

評者 川上重彦(金沢医科大学形成外科)<br>
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「眼形成外科」の入門書として<br>
この領域に造詣が深い細川先生が企画した書である。あえて「眼形成外科」という文言を入れずに「外科」としたところに,形成外科医だけではなく広くさまざまな領域の先生方にも読んでいただきたい,という細川先生の意図を感じた。<br>
本書は16の項で構成されており,うち2項は解剖や発生,7項が眼瞼,3項が眼窩に関する内容で構成され,そのほかに涙道疾患,眼球位置異常,顔面神経麻痺等が取り上げられている。執筆・編者は,細川先生のほか垣淵先生をはじめとした細川門下の先生方と,不二門先生以下大阪大学眼科の先生方であり,大阪大学形成外科と眼科の総力を結集した書といえる。その割には,細川先生の性格のなせる業なのか,重厚さは感じず気安く読める書となっている。<br>
各項の内容は治療手技を中心に構成されているが,執筆者が形成外科医か眼科医かによってその内容はかなり異なっており,それぞれの科の特徴がよく反映されていると感じた。また,治療手技を示す書物では臨床写真を用いて手技を説明することが多いが,これには一長一短があり,臨床写真だけではその手技を理解することができない場合もしばしば経験することである。本書では,臨床写真ではわかりにくいと思われる局所解剖や治療手技の説明には,イラストを多用するとともに臨床写真も豊富に掲載してあり,記述内容をよく理解できるようになっている。読者に対する編者の細やかな配慮が感じられる書である。形成外科医はもとより眼科医にとっても「眼形成外科」を理解するうえで大変役に立つ書であり,「眼形成外科」の入門書としても推薦したい。<br>
形成外科はさまざまな診療科とチーム医療を行う機会が多い。例えば,頭蓋では脳神経外科,顎顔面では歯科,乳房では乳腺外科,頭頸部では耳鼻咽喉科や頭頸部外科等とチーム医療を行っている。一方,「眼形成外科」の領域では,形成外科と眼科がチーム医療を行う,というのはこれまであまり聞いたことがない。編者も序文で述べているように,両科医師の共同による本書がこの領域でのチーム医療を促すことを願いたい。