形成外科の基本手技1
形成外科治療手技全書 I

形成外科の基本手技1

監修 波利井清紀・野崎幹弘
編集 平林慎一・川上重彦(総編集)/ 鈴木茂彦・貴志和生
ISBN 978-4-7719-0457-6
発行年 2015年
判型 B5
ページ数 298ページ
本体価格 15,000円(税抜き)
電子版 あり
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【監修にあたって】
形成外科は過去半世紀以上にわたり非常な発展を遂げ,現在,ほとんどの大学で講座、診療科が設置されており, 一般社団法人日本形成外科学会の認定する専門医は2,400名を超えております。また,2017 年度から日本専門医機構が認定する基本領域19 診療科の一つとして,新しい専門医研修プログラムによる研修もスタートされます。
一方,形成外科が診療する疾患の範囲は非常に幅広く,他科の診療分野とのオーバーラップ,疾患名と治療手技が一致しないことなどがあり,形成外科の治療手技を体系的に記述した日本の教科書はありませんでした。
今回,本全書を刊行する目的の一つに,臨床外科の一分野として発展してきた形成外科を,将来に向けて広く独立した学問としてとらえた教科書を作りたい,ということがあります。すなわち,「形成外科学」を一つの体系としてとらえ,共通の概念に基づく診断から治療法の選択,そして治療の実際に関する標準的かつ最新の知識を網羅した,大系的な教科書作りを目指しております。
「形成外科学」の,より一層の発展に寄与できれば幸いです。

「形成外科の基本手技」でありますが,内容的には,外科系全ての医師が当然知っておくべき基本的知識,例えば「周手術期管理」,「手術器具」,「皮膚切開と縫合」などについても形成外科医の立場から述べていただきました。

本書は,書斎ではなくむしろ臨床の現場で,必要な時に,いつでも手に取って読まれる全書を目指しました!
●総論として標準的な診断と治療をなるべく網羅。
●次に各論として、その治療に最適と思われる代表的手技をいくつか示す。
●実際の流れを写真によりstep by stepで解説。

第1章 創傷管理
1.創傷の分類・診断・検査(館 正弘)
急性創傷と慢性創傷/急性創傷の診断/慢性創傷の診断/生理機能検査
糖尿病性足潰瘍例における(下肢)SPP値の測定
2.急性創傷管理法(館 正弘)
創傷処理/術後管理
I 擦過創の治療
II 顔面裂創の治療
3.慢性創傷管理法(館 正弘・宮永 亨)
創傷管理のアルゴリズム/TIME/デブリードマン
I 外科的デブリードマン
II 保存的外科デブリードマン
III 生物学的デブリードマン(マゴット療法)
4.軟膏療法(安田 浩)
主剤による適応/基剤による適応
I 感染・壊死を伴う褥瘡に対する軟膏療法
II 肉芽と壊死組織が混在した潰瘍に対する軟膏療法
III II度熱傷潰瘍の保存的治療
IV 指尖部損傷の保存的治療
5.創傷被覆材(橋本一郎・安倍吉郎)
創傷被覆材とは/被覆材の材質による分類/創傷から見た被覆材の選択/手技
I 擦過傷
II 熱傷
III 指尖部損傷
IV 背部正中の褥瘡
V 静脈うっ滞性潰瘍
6.局所陰圧閉鎖療法(市岡 滋)
局所陰圧閉鎖療法とは/適応となる疾患/禁忌,合併症
I 器具の装着
II 下腿骨髄炎
III 糖尿病性足潰瘍:局所陰圧閉鎖療法と人工真皮の併用
IV 縦隔炎:局所陰圧閉鎖療法によるwound bed preparation
7.感染創の治療
1)SSIの予防と対処法(大慈弥裕之)
Surgical site infectionとは/術前管理/術中管理/術後管理
2)感染創の管理(漆舘聡志・三上 誠)
診断のポイント/救急処置と治療法の選択/手術方法
I 切開・排膿
II 壊死を伴う感染創の処置:創の開放・排膿
III 壊死を伴う感染創の処置:wet to dry dressing法による創底管理

第2章 周術期管理と麻酔
1.術前準備と術後管理(櫻井裕之)
入室前病棟管理/入室後術前準備/手洗い・ガウン/術野の消毒/術野の覆布(ドレープ)/
抗生剤の選択と投与/術後の創管理と包帯交換
顔面手術のドレープ法
2.形成外科で用いる局所麻酔法(松村 一)
麻酔法の選択/静脈麻酔との併用~特にプロポフォールの危険性について/
局所麻酔薬の種類と安全確保のための必須事項
I 皮膚の表面麻酔
II 粘膜の表面麻酔
III 皮膚浸潤麻酔
IV 眼窩上神経ブロック
V 眼窩下神経ブロック
VI おとがい神経ブロック
VII 後頭神経ブロック
VIII  腕神経叢ブロック:腋窩アプローチ
IX 手関節部掌側でのブロック
X 足関節でのブロック
XI 指神経ブロック

第3章 形成外科手術手技の特徴と基本手術器具
形成外科手術手技の特徴と基本手術器具(宇田宏一)
形成外科手技の特徴/形成外科手術器具セット
I 形成外科手術器具(材料)の特徴とその使用法
II デルマトーム

第4章 皮膚切開と縫合法
1.皮膚切開(大西 清)
RSTLとLanger割線/デザイン/皮膚切開
I 頭部の皮膚切開
II 頭部の冠状切開
III 顔面の皮膚切開
IV 体幹の皮膚切開
V 四肢の皮膚切開:手指部の機能的皮膚切開
2.剥離,止血,ドレナージ法(三鍋俊春・大西文夫)
基本的な剥離手技/部位別に見た剥離層と剥離手技/止血手技/ドレナージ法
I 頬部皮弁の剥離・挙上
II 四肢・体幹における穿通枝皮弁の挙上
III 四肢・体幹における組織拡張器の挿入
IV 止血法
V ドレナージ法
3.結紮法
1)用手結紮(福積 聡・鳥海正博)
結紮の種類と選択
I 両手結紮1:両手を用いて左右均等に糸を締める,結紮の基本
II 両手結紮2:針付きの長い糸を結ぶ場合
III 片手結紮1:早く結ぶことができる
IV 片手結紮2:糸の一方が短い場合
V 外科結紮
VI クランプした箇所(血管)の結紮
VII 深部(体腔内)での結紮
VIII 緊張をかけながらの結紮
2)器械縫合法(上田晃一・重村友香)
器械縫合の方法
4.創の縫合法
1)縫合法(田中克己)
縫合の歴史/皮膚縫合/各部の創縫合
I 顔面裂創の治療
II 口唇の創縫合
2)縫合糸に代わる閉鎖法(垣淵正男)
閉鎖法の選択と適応/使用される材料と特徴
I テープ類による創閉鎖
II 皮膚表面接着剤による創閉鎖
III スキンステープラーによる創閉鎖
IV 創傷被覆・保護材を応用した創閉鎖
V その他の方法:シューレース法
3)縫合創の処置・後療法(土佐泰祥)
縫合創の管理/後療法
I 抜糸:愛護的操作
II 抜糸後創処置:テーピング

第5章 マイクロサージャリー
1.基本知識(中塚貴志)
マイクロサージャリー手技の種類/形成外科における適応/必要な手術器具・セット
2.練習方法(多久嶋亮彦)
I 手袋・人工血管での縫合練習:手術用顕微鏡・実体顕微鏡に慣れる
II 手袋・人工血管での縫合練習:マイクロ用針糸での縫合
III 手袋・人工血管での縫合練習:人工チューブを使った練習
IV 鶏肉の血管などを使った練習
V 小動物を用いた血管吻合の練習:使用血管の準備
VI 小動物を用いた血管吻合の練習
VII ラットを用いた遊離皮弁移植術
3.微小血管吻合法(朝戸裕貴)
準備と術野/微小血管吻合の原則/術後管理とモニタリング
I 動脈吻合:端々吻合
II 動脈吻合:非反転後壁縫合法
III 動脈吻合:端側吻合
IV 動脈吻合:動脈(静脈)移植
V 静脈吻合:端々吻合
VI 静脈吻合:端側吻合
VII 微小自動血管吻合器
4.神経縫合法(松田 健)
末梢神経の解剖/末梢神経損傷と評価/治療法の選択/神経縫合法の種類/
縫合の準備と縫合法の選択
I 神経上膜縫合法
II 端側神経縫合法
5.リンパ管縫合法(光嶋 勲)
リンパ管(細)静脈吻合法とは/術前準備/術後管理と合併症回避
LVA端々吻合法・LVA端側吻合法

第6章 生体材料と生体組織工学・再生医療
1.生体材料・バイオマテリアル総論(河合勝也)
生体材料とは/分類/骨接合材/人工骨/乳房インプラント
2.人工真皮(鈴木茂彦)
人工真皮とは/選択と適応/応用の実際
3.培養表皮(副島一孝)
培養表皮とは/培養表皮の作成方法/培養表皮の選択と適応
4.成長因子(秋田定伯)
生体組織工学・再生医療における成長因子(細胞増殖因子)の働き/臨床応用の現況
5.その他の再生医療
1)再生軟骨(星 和人)
軟骨の再生
2)毛包・皮膚の再生(貴志和生)
毛包の再生/皮膚の再生
3)脂肪幹細胞(吉村浩太郎)
脂肪由来幹細胞とは/脂肪組織の構造およびその細胞成分/SVF細胞の分離法/
細胞の移植方法と臨床応用/再生治療としての脂肪移植/ASCを利用した脂肪組織移植/
今後のASCの臨床応用の方向性
4)無細胞化組織(高見佳宏)
無細胞化組織とは/無細胞真皮マトリックス(acellular dermal matrix:ADM)/
その他の無細胞化組織/今後の展望

第7章 知っておきたい知識
1.形成外科の歴史(鈴木茂彦)
名称の由来/世界の形成外科の歴史/日本の形成外科の歴史
2.形成外科における形態学(貴志和生・坂本好昭)
整容的形態を重視する形成外科/顔面の形態学
3.形成外科患者の精神病理(難波祐三郎・木股敬裕)
形成外科の患者心理と障害が与える影響/身体醜形障害/性同一性障害
4.創傷治癒のメカニズム(貴志和生)
皮膚の創傷治癒過程/創傷治癒に影響する因子/筋肉の創傷治癒/骨の創傷治癒/
血管の創傷治癒/神経の創傷治癒