形成外科の基本手技1
形成外科治療手技全書 I

監修 波利井清紀・野崎幹弘
編集 平林慎一・川上重彦(総編集)
鈴木茂彦・貴志和生
ISBN 978-4-7719-0457-6
発行年 2016年
判型 B5
ページ数 298ページ
本体価格 15,000円(税抜き)
電子版 あり
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ドレープの折り方や糸の結び方といった形成外科のキホンのキホンを、コマ送りの写真で説明を展開します。見てわかりやすいのが大好評です。

創傷の管理/周術期管理/麻酔/手術器具の基本的な使い方/皮膚切開/縫合法/マイクロサージャリー/生体材料など
●知っておきたい知識(形成外科の歴史/形態学/精神病理/創傷治癒メカニズム)

第1章 創傷管理
1.創傷の分類・診断・検査(館 正弘)
急性創傷と慢性創傷/急性創傷の診断/慢性創傷の診断/生理機能検査
糖尿病性足潰瘍例における(下肢)SPP値の測定
2.急性創傷管理法(館 正弘)
創傷処理/術後管理
I 擦過創の治療
II 顔面裂創の治療
3.慢性創傷管理法(館 正弘・宮永 亨)
創傷管理のアルゴリズム/TIME/デブリードマン
I 外科的デブリードマン
II 保存的外科デブリードマン
III 生物学的デブリードマン(マゴット療法)
4.軟膏療法(安田 浩)
主剤による適応/基剤による適応
I 感染・壊死を伴う褥瘡に対する軟膏療法
II 肉芽と壊死組織が混在した潰瘍に対する軟膏療法
III II度熱傷潰瘍の保存的治療
IV 指尖部損傷の保存的治療
5.創傷被覆材(橋本一郎・安倍吉郎)
創傷被覆材とは/被覆材の材質による分類/創傷から見た被覆材の選択/手技
I 擦過傷
II 熱傷
III 指尖部損傷
IV 背部正中の褥瘡
V 静脈うっ滞性潰瘍
6.局所陰圧閉鎖療法(市岡 滋)
局所陰圧閉鎖療法とは/適応となる疾患/禁忌,合併症
I 器具の装着
II 下腿骨髄炎
III 糖尿病性足潰瘍:局所陰圧閉鎖療法と人工真皮の併用
IV 縦隔炎:局所陰圧閉鎖療法によるwound bed preparation
7.感染創の治療
1)SSIの予防と対処法(大慈弥裕之)
Surgical site infectionとは/術前管理/術中管理/術後管理
2)感染創の管理(漆舘聡志・三上 誠)
診断のポイント/救急処置と治療法の選択/手術方法
I 切開・排膿
II 壊死を伴う感染創の処置:創の開放・排膿
III 壊死を伴う感染創の処置:wet to dry dressing法による創底管理

第2章 周術期管理と麻酔
1.術前準備と術後管理(櫻井裕之)
入室前病棟管理/入室後術前準備/手洗い・ガウン/術野の消毒/術野の覆布(ドレープ)/
抗生剤の選択と投与/術後の創管理と包帯交換
顔面手術のドレープ法
2.形成外科で用いる局所麻酔法(松村 一)
麻酔法の選択/静脈麻酔との併用~特にプロポフォールの危険性について/
局所麻酔薬の種類と安全確保のための必須事項
I 皮膚の表面麻酔
II 粘膜の表面麻酔
III 皮膚浸潤麻酔
IV 眼窩上神経ブロック
V 眼窩下神経ブロック
VI おとがい神経ブロック
VII 後頭神経ブロック
VIII  腕神経叢ブロック:腋窩アプローチ
IX 手関節部掌側でのブロック
X 足関節でのブロック
XI 指神経ブロック

第3章 形成外科手術手技の特徴と基本手術器具
形成外科手術手技の特徴と基本手術器具(宇田宏一)
形成外科手技の特徴/形成外科手術器具セット
I 形成外科手術器具(材料)の特徴とその使用法
II デルマトーム

第4章 皮膚切開と縫合法
1.皮膚切開(大西 清)
RSTLとLanger割線/デザイン/皮膚切開
I 頭部の皮膚切開
II 頭部の冠状切開
III 顔面の皮膚切開
IV 体幹の皮膚切開
V 四肢の皮膚切開:手指部の機能的皮膚切開
2.剥離,止血,ドレナージ法(三鍋俊春・大西文夫)
基本的な剥離手技/部位別に見た剥離層と剥離手技/止血手技/ドレナージ法
I 頬部皮弁の剥離・挙上
II 四肢・体幹における穿通枝皮弁の挙上
III 四肢・体幹における組織拡張器の挿入
IV 止血法
V ドレナージ法
3.結紮法
1)用手結紮(福積 聡・鳥海正博)
結紮の種類と選択
I 両手結紮1:両手を用いて左右均等に糸を締める,結紮の基本
II 両手結紮2:針付きの長い糸を結ぶ場合
III 片手結紮1:早く結ぶことができる
IV 片手結紮2:糸の一方が短い場合
V 外科結紮
VI クランプした箇所(血管)の結紮
VII 深部(体腔内)での結紮
VIII 緊張をかけながらの結紮
2)器械縫合法(上田晃一・重村友香)
器械縫合の方法
4.創の縫合法
1)縫合法(田中克己)
縫合の歴史/皮膚縫合/各部の創縫合
I 顔面裂創の治療
II 口唇の創縫合
2)縫合糸に代わる閉鎖法(垣淵正男)
閉鎖法の選択と適応/使用される材料と特徴
I テープ類による創閉鎖
II 皮膚表面接着剤による創閉鎖
III スキンステープラーによる創閉鎖
IV 創傷被覆・保護材を応用した創閉鎖
V その他の方法:シューレース法
3)縫合創の処置・後療法(土佐泰祥)
縫合創の管理/後療法
I 抜糸:愛護的操作
II 抜糸後創処置:テーピング

第5章 マイクロサージャリー
1.基本知識(中塚貴志)
マイクロサージャリー手技の種類/形成外科における適応/必要な手術器具・セット
2.練習方法(多久嶋亮彦)
I 手袋・人工血管での縫合練習:手術用顕微鏡・実体顕微鏡に慣れる
II 手袋・人工血管での縫合練習:マイクロ用針糸での縫合
III 手袋・人工血管での縫合練習:人工チューブを使った練習
IV 鶏肉の血管などを使った練習
V 小動物を用いた血管吻合の練習:使用血管の準備
VI 小動物を用いた血管吻合の練習
VII ラットを用いた遊離皮弁移植術
3.微小血管吻合法(朝戸裕貴)
準備と術野/微小血管吻合の原則/術後管理とモニタリング
I 動脈吻合:端々吻合
II 動脈吻合:非反転後壁縫合法
III 動脈吻合:端側吻合
IV 動脈吻合:動脈(静脈)移植
V 静脈吻合:端々吻合
VI 静脈吻合:端側吻合
VII 微小自動血管吻合器
4.神経縫合法(松田 健)
末梢神経の解剖/末梢神経損傷と評価/治療法の選択/神経縫合法の種類/
縫合の準備と縫合法の選択
I 神経上膜縫合法
II 端側神経縫合法
5.リンパ管縫合法(光嶋 勲)
リンパ管(細)静脈吻合法とは/術前準備/術後管理と合併症回避
LVA端々吻合法・LVA端側吻合法

第6章 生体材料と生体組織工学・再生医療
1.生体材料・バイオマテリアル総論(河合勝也)
生体材料とは/分類/骨接合材/人工骨/乳房インプラント
2.人工真皮(鈴木茂彦)
人工真皮とは/選択と適応/応用の実際
3.培養表皮(副島一孝)
培養表皮とは/培養表皮の作成方法/培養表皮の選択と適応
4.成長因子(秋田定伯)
生体組織工学・再生医療における成長因子(細胞増殖因子)の働き/臨床応用の現況
5.その他の再生医療
1)再生軟骨(星 和人)
軟骨の再生
2)毛包・皮膚の再生(貴志和生)
毛包の再生/皮膚の再生
3)脂肪幹細胞(吉村浩太郎)
脂肪由来幹細胞とは/脂肪組織の構造およびその細胞成分/SVF細胞の分離法/
細胞の移植方法と臨床応用/再生治療としての脂肪移植/ASCを利用した脂肪組織移植/
今後のASCの臨床応用の方向性
4)無細胞化組織(高見佳宏)
無細胞化組織とは/無細胞真皮マトリックス(acellular dermal matrix:ADM)/
その他の無細胞化組織/今後の展望

第7章 知っておきたい知識
1.形成外科の歴史(鈴木茂彦)
名称の由来/世界の形成外科の歴史/日本の形成外科の歴史
2.形成外科における形態学(貴志和生・坂本好昭)
整容的形態を重視する形成外科/顔面の形態学
3.形成外科患者の精神病理(難波祐三郎・木股敬裕)
形成外科の患者心理と障害が与える影響/身体醜形障害/性同一性障害
4.創傷治癒のメカニズム(貴志和生)
皮膚の創傷治癒過程/創傷治癒に影響する因子/筋肉の創傷治癒/骨の創傷治癒/
血管の創傷治癒/神経の創傷治癒