創傷外科
形成外科治療手技全書 III

創傷外科

監修 波利井清紀・野崎幹弘
編集 平林慎一・川上重彦(総編集)/ 楠本健司・館 正弘
ISBN 978-4-7719-0439-2
発行年 2015年
判型 B5
ページ数 360ページ
本体価格 18,000円(税抜き)
電子版 あり
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【監修にあたって】
形成外科は過去半世紀以上にわたり非常な発展を遂げ,現在,ほとんどの大学で講座、診療科が設置されており, 一般社団法人日本形成外科学会の認定する専門医は2,400名を超えております。また,2017 年度から日本専門医機構が認定する基本領域19 診療科の一つとして,新しい専門医研修プログラムによる研修もスタートされます。
一方,形成外科が診療する疾患の範囲は非常に幅広く,他科の診療分野とのオーバーラップ,疾患名と治療手技が一致しないことなどがあり,形成外科の治療手技を体系的に記述した日本の教科書はありませんでした。
今回,本全書を刊行する目的の一つに,臨床外科の一分野として発展してきた形成外科を,将来に向けて広く独立した学問としてとらえた教科書を作りたい,ということがあります。すなわち,「形成外科学」を一つの体系としてとらえ,共通の概念に基づく診断から治療法の選択,そして治療の実際に関する標準的かつ最新の知識を網羅した,大系的な教科書作りを目指しております。
「形成外科学」の,より一層の発展に寄与できれば幸いです。

創傷外科が目指すのは,キズを早く綺麗に治すことです。それは形成外科の基盤であり,ある意味、形成外科そのものでもあります。

本書は,書斎ではなくむしろ臨床の現場で,必要な時に,いつでも手に取って読まれる全書を目指しました!
●総論として標準的な診断と治療をなるべく網羅。
●次に各論として、その治療に最適と思われる代表的手技をいくつか示す。
●実際の流れを写真によりstep by stepで解説。

第1章 顔面外傷
初期治療の要点(楠本健司)
外傷の全身的多発性/治療の緊急性/顔面外傷の初期治療の要点/
目指すべき顔面外傷の治療のために
1.軟部組織損傷
1)眼瞼(梶川明義・館 正弘)
診断のポイント/治療法の選択
I 眼瞼裂創:創傷処理
II 涙小管損傷:涙道再建
2)外鼻(梶川明義・岸邊美幸)
診断のポイント/治療法の選択
I 鼻尖,鼻翼欠損:頭皮前額皮弁による再建
II 鼻翼欠損:鼻唇溝皮弁による再建
3)口唇・口腔(四ツ柳高敏・山下 建)
診断のポイントと治療法の選択
I 口唇の裂挫創:創傷処理
II 口腔の裂挫創:創傷処理
4)耳介(四ツ柳高敏・山内 誠
診断のポイントと治療法の選択
耳介血腫:線維性組織の完全切除と圧迫固定
2.顔面神経損傷・耳下腺管損傷(上田和毅)
診断のポイント/治療法の選択
I 顔面神経・耳下腺管へのアプローチ
II 顔面神経損傷:神経縫合
III 顔面神経損傷:神経移植
IV 耳下腺管損傷:耳下腺管吻合
3.顔面骨骨折
1)頬骨骨折・眼窩骨折(緒方寿夫)
診断のポイント/治療法の選択
I Gillies のアプローチ
II 上口腔前庭切開からのアプローチ
III 眼窩下縁へのアプローチ
IV 前頭頬骨縫合・蝶形頬骨縫合部へのアプローチ
V 頬骨体部骨折:鉤・スクリューによる整復
VI 頬骨体部骨折:固定法の選択と内固定
VII 眼窩下壁骨折:打ち抜き型骨折の整復・眼窩床再建
VIII 眼窩下壁骨折:線状型骨折の整復
IX 眼窩内側壁骨折:経結膜アプローチによる再建
2)上顎骨骨折・下顎骨骨折(矢野浩規・平野明喜)
診断のポイント/治療法の選択/小児の上・下顎骨骨折の留意点/
無歯顎の上・下顎骨骨折の留意点
I 顎間固定
II 上顎へのアプローチ
III 上顎骨骨折:整復と固定
IV 下顎骨骨折:下顎口腔前庭切開からの整復と固定
V 下顎骨骨折:下顎枝前縁からの整復と固定
VI 下顎骨骨折・関節突起骨折:下顎下縁切開からの整復と固定
VII 関節突起骨折:耳前切開と経耳下腺アプローチ
3)鼻骨骨折・鼻骨篩骨合併骨折・前頭洞骨折(今井啓道)
診断のポイント/治療法の選択
I 鼻骨骨折:整復と固定
II 鼻骨・篩骨合併骨折:整復と固定
III 前頭洞前壁骨折:整復と固定
4)顔面多発骨折(石田有宏)
診断のポイント/治療法の選択
I 顔面多発骨折整復の手順
II 眼窩外側壁での蝶形頬骨縫合部の整復の確認と固定
III 冠状切開

第2章 手足の外傷・変形
初期治療の要点(福本恵三)
診断のポイント/救急室で行う処置/手術室で行う処置/
インフォームド・コンセントの要点
1.上肢・手指の損傷
1)軟部組織損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I 手背皮膚欠損:有茎腹部皮弁による再建
II 手挫滅損傷:遊離前外側大腿皮弁による再建
2)神経損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I 神経縫合
II 自家神経移植
3)腱損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I 屈筋腱損傷:腱縫合
II 屈筋腱損傷:二期的再建(腱移植)
III 屈筋腱損傷:リハビリテーション
IV 伸筋腱損傷:腱縫合
V 伸筋腱損傷:二期的再建
4)手・指の,骨・関節損傷(島田賢一)
診断のポイント/治療法の選択
I DIP 関節内骨折:整復と固定(石黒法)
II 末節骨骨幹部骨折:整復と固定
III 基節骨骨幹部骨折:整復と固定
IV 中手骨頸部骨折:整復と固定(Foucher 法)
2.切断指再接着
1)指尖部切断(磯貝典孝)
診断のポイント/治療法の選択
I 指交叉皮弁による再建
II 母指球皮弁による再建
III Oblique triangular flap による再建
IV 逆行性指動脈島状皮弁による再建
V 母指掌側前進皮弁による再建
VI 母指の逆行性指動脈島状皮弁による再建
VII 再接着
VIII 動脈のみを吻合した再接着
2)指切断(磯貝典孝)
診断のポイント/治療法の選択/チーム医療の体制づくり/
リハビリテーションについて/不成功時の対応
I 再接着
II 多重切断の再建
III 多指切断の再建
IV 引き抜き損傷,デグロービング損傷の再建
3)手部での切断(磯貝典孝)
診断のポイント/治療法の選択
I 再接着
II 術後神経麻痺に対する再建
3.下肢・足趾の損傷(平瀬雄一)
診断のポイント/治療法の選択
I 下腿損傷:中央・前面・膝部の筋弁による再建
II 下腿損傷:末梢2/3 およびアキレス腱周囲への筋膜弁による被覆
III 下腿損傷:広範囲皮膚欠損の遊離皮弁による被覆
IV 足部損傷:足背部の短趾伸筋弁による被覆
V 足部損傷:踵部の内側足底皮弁による再建
VI 足部損傷:足部切断端の内側足底皮弁による被覆
4.爪の損傷(福本恵三)
診断のポイント/治療法の選択
I かぎ爪:掌側前進皮弁による再建
II 陥入爪:児島Ⅰ法による再建
III 巻き爪:児島法による再建
5.手・足の変形(福本恵三)
診断のポイント/治療法の選択
I Dupuytren 拘縮:ほぼ完全な腱膜切除術とZ 形成術による解除
II ヘバーデン結節: DIP 関節固定術(Lister 法)
III ばね指:腱鞘切開術
IV 外反母趾:第1 中足骨近位骨切り術(Mann 法)

第3章 熱傷
1.熱傷
1)全身管理(菅又 章)
治療のポイントと手術適応/全身管理の実際
I 減張切開
II デブリードマン(連続切除,筋膜上切除)
2)局所管理と手術(仲沢弘明)
治療法の選択/広範囲熱傷に対する早期手術
I 自家植皮:網状植皮
II 自家植皮:パッチ植皮
III 混合植皮
3)顔面・頸部(竹内正樹)
診断のポイント/治療法の選択/熱傷手術におけるエステティック・ユニット/
各部位ごとの治療/術後管理
I 顔面広範囲熱傷:焼痂切除と植皮
II 頸部熱傷:減張切開とデブリードマン・植皮
4)四肢・手(低温熱傷を含む)(横尾和久)
診断のポイント/治療法の選択/低温熱傷に対する治療法の選択
I 減張切開
II 四肢広範囲熱傷:デブリードマン・植皮
III 手背熱傷:Tangential excision・植皮
IV 手背熱傷:遊離大網弁による再建
V 低温熱傷:デブリードマン・植皮
5)体幹・外陰部(浅井真太郎)
診断のポイントと治療法の選択
外陰部熱傷:デブリードマン・植皮
6)培養表皮,人工真皮ほか(春成伸之)
治療法の選択
I 同種皮膚移植:自家分層植皮術と併用する方法
II 同種皮膚移植:同種皮膚のみを移植する方法
III 人工真皮移植:整容的効果を期待する場合
IV 人工真皮移植:分層植皮術で被覆できない創面へ貼付する場合
V 培養表皮移植
2.化学損傷(仲沢弘明)
診断のポイント/治療法の選択
3.電撃傷・凍傷(村上正洋)
診断のポイント/治療法の選択

第4章 感染創
1.皮膚・軟部組織感染症
1)皮膚感染症(大浦紀彦)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
殿部慢性膿皮症:植皮による再建
2)蜂窩織炎,壊死性軟部組織感染症(大浦紀彦)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
下腿ガス壊疽:デブリードマン・植皮
2.骨髄炎・骨壊死(横田和典)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択/
保存的治療:抗菌薬の使い方/手術療法
I 病巣掻爬,腐骨処理
II 抗菌薬含有セメントビーズ充填
III 脛骨骨髄炎:筋皮弁,筋弁による死腔の充填
IV 脛骨骨髄炎・骨欠損:血管柄付き骨移植術 による再建
3.胸骨骨髄炎・縦隔炎(守永圭吾・清川兼輔)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
I 創内持続陰圧洗浄
II 筋弁による再建
III 大網弁による再建

第5章 慢性創傷
1.褥瘡
◎概説(小坂正明)
褥瘡の分類法/褥瘡の評価/手術適応・術式の選択/
再建術前の外科的処置/手術時期
1)仙骨部褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
I 大殿筋筋膜皮弁(有茎皮弁)による再建
II 大殿筋穿通動脈皮弁(島状転位皮弁)による再建
III Buried chip skin graft:BCSGによる再建
2)大転子部褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
大腿筋膜張筋皮弁による再建
3)坐骨部褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
I 後大腿皮弁による再建
II ハムストリング筋皮弁による再建
4)その他の部位の褥瘡(小坂正明)
診断のポイント/治療法の選択
I 踵部褥瘡:外用剤塗布
II 背部褥瘡:広背筋皮弁による再建
2.糖尿病性足潰瘍と末梢動脈性疾患
1)糖尿病性足潰瘍(寺師浩人)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
I 足趾切断
II Modified TMA(transmetatarsal amputation)
III 潰瘍発生予防のための手術(prophylactic surgery)
IV 第I趾MTP関節露出潰瘍:内側足底動脈穿通枝皮弁による再建
2)末梢動脈性疾患(PAD)(田中嘉雄)
◎概説  血行再建の目的/血行再建の適応/診断のポイント/
治療法の選択(治療のアルゴリズム)/術後管理
I 血行再建:1流出動脈と流入動脈の位置決め
II 血行再建:2バイパス移植血管の採取と作成
III 血行再建:3バイパス移植血管の皮下誘導と配置
IV 血行再建:4血管吻合
3.静脈瘤・静脈うっ滞性皮膚潰瘍(八巻 隆)
◎概説  診断のポイント/治療法の選択
ストリッピング手術

第6章 瘢痕拘縮・肥厚性瘢痕・ケロイド
1.瘢痕拘縮(岸邊美幸)
診断のポイント/治療法の選択/部位別の概要
I 眼瞼:Lateral orbital flap による下眼瞼外反の再建
II 眼瞼:含皮下血管網全層植皮による下眼瞼外反の再建
III 口唇:全層植皮による下口唇瘢痕拘縮の治療
IV 頸部:全層植皮による瘢痕拘縮の治療
V 腋窩:局所皮弁による線状瘢痕拘縮の解除
VI 手指:全層植皮による面状瘢痕拘縮の解除
VII 四肢:植皮による足背瘢痕拘縮の解除
2.肥厚性瘢痕・ケロイド(小川 令)
診断のポイント/治療法の選択
I 胸腹部術後瘢痕・ケロイド:全切除
II 耳垂ケロイド:楔状切除
III 前胸部ケロイド:Z 形成術

第7章 知っておきたい知識
1.創傷治療の歴史(楠本健司)
はじめに/創傷の各種段階における治療の歴史/おわりに
2.創傷の定義・分類(館 正弘)
創傷の定義/急性創傷と慢性創傷/急性創傷の分類/慢性創傷
3.急性創傷と慢性創傷の違い(館 正弘)
急性創傷と創傷治癒機転/慢性創傷と創傷治癒機転の異常/
細菌の影響/創傷治癒のバイオマーカー