サルコイドーシスとその他の肉芽腫性疾患

サルコイドーシスとその他の肉芽腫性疾患

監修 安藤正幸・四元秀毅
編集 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
ISBN 4-7719-0312-3
発行年 2006年
判型 B5
ページ数 360ページ
本体価格 9,500円(税抜き)
電子版 なし


第1章 Sarcoidologyの歴史―欧米と日本の研究の歩み―/細田 裕/1
I.欧米における研究小史 2
 1.各臓器病変が独立疾患だった時代(1869~1910年代)…2
2.全身病時代(1910~1950年代)…6

 3.国際研究時代(Global sarcoidosis movement 1950年代~)…6
II.日本における研究小史 8
 1.サルコイドーシス学会誕生までの研究組織…8
 2.研究の歩み…9
 3.疫学,臨床,病因などの研究寸描…12
III.サルコイドーシス研究に貢献した人物の横顔 14
第2章 サルコイドーシスはどんな病気か/25
1 サルコイドーシスの臨床像/泉 孝英…26
I.全身性疾患としてのサルコイドーシスの認識過程 26
II.サルコイドーシスの罹患部位(臓器)の頻度 26
 1.サルコイドーシス罹患部位の国際的比較…28
 2.サルコイドーシス罹患部位の国際的比較(1981~85年発症/発見症例)…28
 3.米国多施設共同検討報告にみられる罹患部位…29
III.サルコイドーシスの臨床像 29
 1.全身性疾患としての臨床像…29
 2.臓器に関連した臨床症状所見…29
2 サルコイドーシスの病因論/江石義信…36
I.病変部からのアクネ菌の分離培養 36
II.病変部から多量に検出されるアクネ菌DNA 37
III.病変部におけるアクネ菌の内因性活性化現象 37
IV.宿主要因 38
V.実験モデル 41
VI.新しい感染症の概念 41
VII.治療法開発への期待 42
3 サルコイドーシスの発症機序/山口悦郎…44
I.外因 44
II.素因 45
 1.疫学…45
 2.サルコイドーシスのゲノムスキャン…45
 3.サイトカインおよびその受容体遺伝子の相関解析…46
III.誘因 47
IV.おわりに 49
4 サルコイドーシスの病理像/武村民子…52
I.リンパ節の病変 52
II.サルコイドーシス肺の病理像 55
 1.リンパ球性胞隔炎…55
 2.類上皮細胞肉芽腫の分布…55
 3.肉芽腫の転帰と線維化…58
III.ミクロアンギオパチー 60
IV.他の肉芽腫性疾患との鑑別 61
V.おわりに 61
第3章 サルコイドーシスの臓器病変/63
1 肺・胸膜/佐藤篤彦,須田隆文…64
I.肺病変 64
 1.頻度…64
 2.病態…64
 3.病理…64
 4.画像診断…65
 5.肺機能検査…68
 6.間質性肺炎の血清マーカー…68
 7.気管支肺胞洗浄液検査(BALF)…68
 8.肺生検…68
 9.予後…68
II.気道病変 69
III.胸膜病変 69
2 心 臓/植村晃久,森本紳一郎…72
I.臨床症状 72
II.診断 73
 1.胸部X線,胸部CT…73
 2.心臓超音波検査…74
 3.核医学検査,核磁気共鳴(MRI),陽電子放射断層法(PET)…74
 4.心内膜心筋生検…74
III.治療 76
3 神経・筋肉/熊本俊秀…80
I.はじめに 80
II.神経サルコイドーシス 80
 1.神経サルコイドーシスの分類と頻度…80
 2.神経サルコイドーシスの臨床症状…80
 3.神経サルコイドーシスの検査所見…81
 4.神経サルコイドーシスの病理所見…82
III.筋サルコイドーシス(サルコイド・ミオパチー) 83
 1.筋サルコイドーシスの病型と頻度…83
 2.筋サルコイドーシスの臨床症状…83
 3.筋サルコイドーシスの画像…83
 4.筋サルコイドーシスの筋病理像…84
 5.筋サルコイドーシスにおける筋線維の崩壊機序…85
4 内分泌系/森下宗彦…88
I.間脳-脳下垂体系の病変 88
II.甲状腺 88
III.副甲状腺(上皮小体) 89
IV.副腎 89
V.膵臓 89
VI.性器 89
 1.男性性器…89
 2.女性性器…89
 3.胎盤…89
VII.高カルシウム血症 90
5 肝臓・脾臓・消化器/立花暉夫…94
I.肝病変 94
 1.頻度…94
 2.自他覚症状…94
 3.検査所見…94
 4.肝外病変との関連…96
 5.治療,経過,予後…96
 6.合併症…96
II.脾病変 96
 1.頻度,発見動機,発見時年令…96
 2.自他覚症状…97
 3.検査所見…97
 4.脾以外の病変との関連…98
 5.治療,経過,予後…98
III.腹腔内リンパ節病変 98
IV.胃病変 99
V.食道,腸病変 99
VI.膵病変 100
VII.胆?,胆道,腹膜病変 100
6 腎臓・泌尿器/上野光博,下条文武,鈴木栄一…102
I.腎病変の種類,頻度と発見時期 102
 1.種類…102
 2.頻度…102
 3.発見時期…103
II.肉芽腫性間質性腎炎granulomatous interstitial nephritis,尿細管間質性腎炎tubulointerstitial nephritis 103
III.糸球体腎炎glomerulonephritis(GN) 104
IV.その他の腎障害 105
V.経過,検査,治療と予後 105
7 皮 膚/岡本祐之…108
I.結節性紅斑 108
II.瘢痕浸潤 109
III.皮膚サルコイド 111
 1.結節型…111
 2.局面型…111
 3.びまん浸潤型…111
 4.皮下型…112 5.その他…113
IV.各皮膚病変の頻度と診察のポイント 114
V.組織像 114
VI.鑑別疾患 115
VII.治療 115
VIII.まとめ 115
8 眼病変/望月 學…118
I.サルコイドーシスの眼病変 118
 1.前部ぶどう膜炎…119
 2.肉芽腫性前部ぶどう膜炎…119
 3.隅角結節,テント状虹彩前癒着(テント状PAS)…120
 4.硝子体病変…121
 5.網脈絡膜病変…121
 6.網膜静脈周囲炎…121
II.眼病変によるサルコイドーシスの診断について 123
III.サルコイドーシスの眼合併症 123
IV.まとめ 123
9 その他の臓器/山口哲生…126
I.上気道病変 126
II.骨病変 129
 1.臨床所見…129
 2.画像所見…129
 3.病態生理…129
 4.治療…129
 5.症例提示…129
III.関節病変 131
 1.急性の関節病変…131
 2.慢性の関節病変…132
 3.小児の関節病変…132
 4.鑑別診断…132
 5.症例例示…132
第4章 サルコイドーシスの診断と検査所見/135
1 診断基準と診断の進め方/折津 愈…136
I.症状 136
 1.全身症状…136
 2.臓器別症状…137
II.診断の進め方 138
III.診断基準 141
IV.サルコイドーシスの新診断基準 142
2 検査所見…144
2-(1)画像検査/酒井文和 144
 I.胸郭内病変の画像診断 144
  1.リンパ節病変…144
  2.肺病変…145
  3.その他の胸郭内病変…148
  4.核医学診断…148
  5.鑑別診断…149
 II.胸郭外病変 151
2-(2)生化学・免疫検査/阿部庄作,平賀洋明 155
 I.ツベルクリン反応 155
  1.臨床的意義…155
  2.ツ反の判定上の注意事項…156
 II.γグロブリン 156
  1.臨床的意義…156
 III.血清ACE(angiotensin-1-converting enzyme;アンジオテンシンI.転換酵素)活性 156
  1.臨床的意義…156
  2.血清ACE活性の判定上の注意事項…157
 IV.血清リゾチーム(lysozyme) 158
  1.臨床的意義…158
  2.血清リゾチーム判定上の注意事項…159
2-(3)呼吸機能検査/四元秀毅 160
 I.病理・画像所見と機能障害 160
 II.呼吸機能の異常 160
  1.拘束性換気障害…160
  2.閉塞性換気障害…161
  3.その他の異常…161
 III.まとめ 162
2-(4)気管支鏡検査/杉山幸比古 164
 I.気管支粘膜生検(EBB) 164
 II.気管支鏡所見 165
  1.非特異的所見…165
  2.特異的所見…166
2-(5)気管支・肺胞洗浄液/本橋典久,吾妻安良太 170
 I.気管支肺胞洗浄の歴史 170
 II.サルコイドーシス診断基準の歴史 170
 III.BALの手技と検体の扱い 170
 IV.ATS/ERS/WASOG共同見解 171
 V.気管支肺胞洗浄液の診断学的意義 171
 VI.気管支肺胞洗浄液とPropionibacterium acnes 173
 VII.おわりに 173
2-(6)生検(肺・その他の臓器)/赤川志のぶ 175
 I.肺生検 175
  1.経気管支肺生検(TBLB)…175
  2.気管支粘膜生検…176
  3.胸腔鏡(VATS)下肺生検…176
  4.開胸肺生検…176
  5.CTガイド下経皮肺生検…177
 II.リンパ節生検 177
  1.前斜角筋リンパ節生検(ダニエルス生検)…177
  2.表在リンパ節生検…177
  3.経気管支針吸引による縦隔リンパ節生検…177
  4.経気管支鏡的縦隔リンパ節生検…177
  5.縦隔鏡下縦隔リンパ節生検…178
 III.皮膚生検 178
 IV.肝生検 178
 V.脾生検 178
 VI.筋生検 178
 VII.心内膜心筋生検 178
 VIII.神経生検 178
 IX.口唇生検 179
 X.腎生検 179
 XI.骨髄生検 179
第5章 サルコイドーシスの予後と治療/181
1 サルコイドーシスの予後と合併症/長井苑子…182
I.罹患臓器評価の必要性 182
 1.病変部位評価の方法…183
II.肺サルコイドーシス:予後の予測と評価 184
 1.臨床経過と治療と再燃の問題…185
 2.難治化症例とその予後,合併症…186
 3.難治肺サルコイドーシス症例にみられる合併症…186
 4.サルコイドーシスにおける肺移植と予後…186
III.おわりに 187
2 サルコイドーシスの治療/津田富康…190
I.はじめに 190
II.サルコイドーシスの治療薬 190
 1.ステロイド薬全身投与治療に関するエビデンス…190
 2.吸入ステロイド(ブデソニド)の使用についてのエビデンス…191
 3.ステロイド以外の免疫抑制薬による治療経験…191
 4.その他の薬剤による治療経験…193
III.サルコイドーシスの臨床経過と基本的な治療適応の関係 193
IV.治療終了・中止の判定 193
V.肺サルコイドーシスの治療 193
VI.心臓サルコイドーシスの治療 194
VII.眼サルコイドーシスの治療 196
VIII.心,眼以外のサルコイドーシス肺外病変の治療 197
IX.経口ステロイド薬投与の効果 198
X.文献から見た免疫抑制薬の使用タイミング 198
XI.おわりに 200
第6章 サルコイドーシスのトピックス/203
1 サルコイドーシスと疾患感受性遺伝子/慶長直人…204
I.候補遺伝子アプローチ 205
II.ゲノムワイドアプローチ 207
III.ACCESS(A Case Control Etiologic Study of Sarcoidosis) 207
2 サルコイドーシスと臓器移植/中田安成…210
I.肺移植 210
II.心臓移植 212
III.肝移植 212
IV.腎移植 212
V.肺サルコイドーシス患者臓器の移植 213
3 サルコイドーシスと妊娠・分娩/四十坊典晴,平賀洋明…216
4 サルコイドーシスとストレス/山田嘉仁,山口哲生,三上理一郎…220
I.ストレスとは 220
II.ストレス関連疾患 220
III.ストレス評価方法 220
IV.サルコイドーシスとライフスタイル 221
V.サルコイドーシスとストレス 221
VI.サルコイドーシス患者の性格 221
VII.ストレスと病態 221
VIII.まとめ 222
第7章 症例にみるサルコイドーシス/225
1 肺急速進展型サルコイドーシス/望月吉郎…226
I.症例 226
II.考察 227
2 肺の空洞形成型サルコイドーシス/田中裕士…230
3 Heerfordt症候群/高橋典明,橋本 修…236
I.概念 236
II.疫学 236
III.臨床症状 237
IV.診断 237
V.治療 238
VI.予後 238
4 Lofgren症候群/佐藤滋樹…240
I.症例 240
II.考察 241
5 高カルシウム血症/風間順一郎,鈴木栄一…242
I.症例 242
II.考察 243
6 シェーグレン症候群との合併/乾 直輝,千田金吾…246
I.サルコイドーシスとSSの合併 246
II.生検の有用性 246
III.病因論より見た両疾患 246
IV.症例提示 246
V.SSの肺病変 247
第8章 サルコイドーシス以外の肉芽腫性疾患/249
1 病 理/北市正則…250
 1.肺結核症…250
 2.非結核性抗酸菌症…250
 3.肺真菌症…250
 4.ニューモシスチス・肺炎…252
 5.Mycoplasma肺炎…252
 6.過敏性肺臓炎…252
 7.慢性好酸球性肺炎…253
 8.塵肺症…253
 9.薬剤誘起性肉芽腫性疾患…253
 10.Wegener肉芽腫症…253
 11.ランゲルハンス細胞肉芽腫症…253
 12.慢性間質性肺炎…254
 13.壊死性サルコイド肉芽腫症…254
2 臨 床…258
2-(1)夏型過敏性肺炎/菅 守隆 258
 I.概念と疫学 258
 II.夏型過敏性肺炎の発症機構 259
 III.臨床像と診断 260
 IV.治療と予防 263
 V.予後 264
2-(2)ランゲルハンス細胞組織球症/岸 一馬,本間 栄 265
 I.疫学的特徴 265
 II.ランゲルハンス細胞 265
 III.病因 266
 IV.病理 266
 V.臨床像 266
 VI.呼吸機能検査 267
 VII.胸部単純X線 267
 VIII.胸部CT 267
 IX.気管支肺胞洗浄液 268
 X.診断 268
 XI.治療 268
 XII.予後 269
2-(3)ウェゲナー肉芽腫症/櫻本 稔,田口善夫 270
 I.疫学 270
 II.臨床所見 270
 III.病型分類 270
 IV.検査所見 271
 V.画像所見 271
 VI.診断 272
 VII.治療 272
 VIII.病因論 274
2-(4)その他の肉芽腫性疾患/滝澤 始 278
 I.肉芽腫性疾患の概念 278
 II.肉芽腫性疾患の分類 278
 III.感染性肉芽腫性疾患 279
 IV.化学物質による肉芽腫性疾患 281
 V.血管炎 283
 VI.腫瘍随伴性サルコイド反応 287
第9章 資 料/289
1 サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き-2006要約/診断委員会:委員長津田富康…290
A.診断基準 290
 1.組織診断群…290
 2.臨床診断群…290
 3.除外診断…290
B.診断の手引き 290
 1.呼吸器系病変を強く示唆する臨床所見…290
 2.眼病変を強く示唆する臨床所見…292
 3.心臓病変を強く示唆する臨床所見…292
 4.皮膚病変を強く示唆する臨床所見…292
 5.神経・筋病変を強く示唆する臨床所見…292
 6.その他の臓器病変を強く示唆する臨床所見…294
C.サルコイドーシスの診断手順は下記の図に従って診断する 294
2 ATS/ERS/WASOGによるサルコイドーシスに関するステートメント/翻訳と解説:安藤正幸ほか…295
 はじめに…295
 定義…296
 歴史…296
 疫学…298
 サルコイドーシスの病因と発病機序…299
 病理…303
 臨床像と臓器病変…304
 特殊病態…309
 診断的アプローチ…310
 自然経過…312
 サルコイドーシスの治療…315
3 難病研究班におけるサルコイドーシス研究の動向/貫和敏博…330
 P.acnesをめぐる研究展開…330
 サルコイドーシスの治療…331
 行政の立場から…331
索 引 333
付属CD-ROMについて
難病克服事業とサルコイドーシス/工藤翔二 35
サルコイドーシスの家族発生/平賀洋明 51
肺サルコイドーシスの重症化因子/山木戸道郎 71
胃のサルコイド病変/伊藤慶夫,高田俊範 79
感染とサルコイドーシス/重松信昭,藤田昌樹 92
小児のサルコイドーシス/堀川雅浩 107
サルコイドーシスとツベルクリン反応/志摩 清 117
内科からみた眼病変/岳中耐夫 125
サルコイドーシスの骨髄病変/片岡幹男,木村郁郎 134
クベイム反応/北郷 修 169
BAL細胞中のサイトカイン/檜山桂子 180
サルコイドーシスと悪性腫瘍/片岡幹男 189
心臓サルコイドーシスの日米格差―日本ではなぜ心臓サルコイドが問題なのか?―/岩井和郎 202
肉芽腫はどのようにして形成されるか/津田富康 209
ベリリウム肺:To Be2+or not to Be2+./井上義一 214
サルコイドーシス眼病変の民族差/大原國俊 217
サルコイドーシスと喫煙/北村 諭 224
サルコイドーシスと頭痛/松井泰夫 228
サルコイドーシスと胸痛/山口哲生 235
サルコイドーシスとHIV感染/杉本峯晴 239
農夫肺―喫煙により発症は抑制されるか―/田村昌士 245
サルコイドーシスの血管病変/三上理一郎 248
鳥飼病/吉澤靖之 257
サルコイドーシスとACE/上田英之助 288

サルコイドーシスは原因不明の全身性肉芽腫性疾患である。その原因について、わが国ではプロピオニバクテリア説が提唱されているが、いまだ確定に至っていない。その特徴的な病変である非乾酪性類上皮細胞肉芽腫は何らかの抗原に対する免疫反応により形成されると考えられている。いずれにしても、サルコイドーシスの病変は肺、眼、心臓、皮膚、神経・筋、肝、脾、腎、骨、リンパ節などの全身の諸臓器に及ぶために、その臨床像は極めて多彩である。したがって、サルコイドーシスの診療にあたっては幅広い知識が要求される。しかし、近年の臓器中心の細分化された学問体系のはざまにあって全身性疾患であるサルコイドーシスはともすれば埋没し、軽視されがちな傾向にある。そこで日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会では、日本呼吸器学会、日本眼科学会、日本循環器学会、日本皮膚科学会、日本神経学会と共同で、「サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き」および「サルコイドーシスの治療指針」を作成し、本症の啓発に努めてきた。本書は、日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会会員が斯学に関する基礎的ならびに臨床的研究の成果を周知するために上梓したものである。
本書の特徴は、サルコイドーシスならびに肉芽腫性疾患の日常診療において必要な診断と治療に関する最新の知見をもれなく収載したこと、およびこれら疾患の病因・病態に関する疫学的、微生物学的、免疫学的、分子遺伝学的研究の全貌を明示したことである。さらに、重要事項についてはコラム欄を設け、各々の研究に従事された方々に執筆して頂いた。また、ATS、ERS,WASOGによる「サルコイドーシスに関するステートメント」の翻訳版を掲載して国際的知識の向上に資するとともに、わが国のサルコイドーシスに特徴的な事項を付記した。また、本書に掲載された画像の一部をCD-ROMに取り込み、教材として使用できるように配慮した。

平成18年8月
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会理事長 安藤正幸