呼吸療法テキスト 改訂第2版

呼吸療法テキスト 改訂第2版

編集 3学会(日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・ 日本麻酔科学会)合同呼吸療法認定士認定委員会
ISBN 4-7719-0298-4
発行年 2005年
判型 B5
ページ数 364ページ
本体価格 9,500円(税抜き)
電子版 なし


1 呼吸療法とは 沼田克雄/1

【1】呼吸療法とは 1
【2】呼吸療法の歴史と現状 1
1)1952年以前…1
2)1952~1959年…2
3)1960年代…2
4)1970年代…2
5)1980年以降…3

2 呼吸療法に必要な解剖・生理の基礎知識

2-1.呼吸器の構造 渡辺俊一・土屋了介/5

【1】気道系 5
1)気管…5
2)気管支…5
3)肺胞…6
【2】血管系 6
1)肺動・静脈系…7
2)気管支動・静脈系…10
【3】リンパ系 10
1)肺内リンパ管…10
2)肺の所属リンパ節…10
【4】神経系

2-2.呼吸の制御(呼吸はどのように調節されているか) 泉崎雅彦・木村 弘/12

【1】呼吸調節系の概略 13
【2】呼吸中枢 13
【3】呼吸調節系 14
1)化学調節系…14
2)神経調節系…14
3)行動調節系…16

2-3.肺の機能 三嶋理晃/17

【1】換気 17
1)換気とは…17
2)換気のメカニクス…18
3)換気の異常…18
【2】ガス交換 19
1)各要素のガス分圧…19
2)肺胞におけるガス交換とその異常…20

2-4.肺循環 久保惠嗣/23

【1】肺循環と体循環 23
【2】肺の血管系とその解剖学 23
1)肺動脈系(肺循環)…24
2)気管支動脈系…24
【3】肺循環の血行力学とその特性 24
1)血圧,血液量,血流…24
2)肺血管抵抗(PVR)…25
3)肺血管抵抗を規定する因子…26
4)肺内血流分布…26
【4】低酸素性肺血管収縮反応(HPV) 27
【5】肺循環の機能的特性 27

2-5.肺の代謝機能 阿部聖裕・河野修興/28

【1】肺の循環系と血管作動物質 29
1)レニン-アンギオテンシン系…29
2)カリクレイン-キニン系…29
3)アラキドン酸代謝…29
【2】肺の気道系と生理活性物質 30
【3】一酸化窒素および活性酸素種の肺への関わり 31
【4】肺サーファクタント 31
【5】肺の線維化など 32

2-6.呼吸筋 横場正典・阿部 直/32

【1】呼吸筋の分類と解剖 32
1)横隔膜…33
2)肋間筋…33
3)補助呼吸筋群…33
4)腹筋群…34
【2】呼吸筋の生理 34
【3】呼吸筋の評価方法 35
1)筋電図…36
2)経横隔膜圧差(Pdi)…36
3)口腔内圧…36
4)sniff pressure…36
【4】種々の病態と呼吸機能障害 36
1)神経・筋疾患…36
2)肺気腫…37
3)呼吸筋疲労…37

3 呼吸機能検査とその解釈 小山信一郎・堀江孝至/38

【1】呼吸機能検査にあたって 38
1)呼吸機能検査の意義…38
2)呼吸機能検査に使われる略語・記号…38
3)気体の状態の表現…39
4)定常状態および安静状態…39
【2】一般的呼吸機能検査 39
1)スパイロメトリ…39
2)肺気量分画…41
3)フローボリューム曲線…42
4)換気力学検査(メカニクス)…43
5)肺内ガス分布検査…46
6)拡散機能検査…47
【3】特殊検査 49
1)気道過敏性検査…49
2)運動負荷検査…50

4 血液ガス検査と酸塩基平衡の解釈 藤田喜久/53

【1】血液ガスに関する用語 53
【2】血液ガスの基準値 54
【3】血液ガスの異常 56
1)低酸素血症…57
2)高二酸化炭素血症…57
【4】血液ガス測定法 57
【5】呼吸不全における酸塩基平衡 58
1)低酸素血症の酸塩基平衡への影響…58
2)急性高二酸化炭素血症での酸塩基平衡の変化…58
3)慢性高二酸化炭素血症での酸塩基平衡の変化…58

5 呼吸障害の病態・診断 宮本顕二/61

【1】呼吸障害の病態 61
1)換気とガス交換…61
【2】呼吸器障害にみられる全身障害 64
1)呼吸筋疲労…64
2)肺循環障害…65
3)中枢神経障害…66
4)消化管障害…66
5)肝障害…66
6)腎障害…66
7)血液異常…66
8)栄養障害,骨格筋異常…66
【3】呼吸障害患者のみかた 67
1)視診…67
2)触診…68
3)聴診…69
4)打診…70
5)バイタルサイン…71

6 呼吸療法に必要な機器とその管理および点検

6-1.ガス供給システム 釘宮豊城/72

【1】医療ガス配管設備(JIS T7101) 72
1)供給源装置…72
2)配管設備…74
3)配管端末器…74
4)警報設備…74
【2】高圧ガス容器(ボンベ)と付属器具(高圧ガス保安法) 75
1)ボンベの種類…75
2)ボンベのガス別塗色…75

6-2.各種呼吸療法機器 丸山和紀/76

【1】人工呼吸器 76
1)構造…76
【2】ネブライザ 77
1)ジェットネブライザとネブライザモータ…78
2)超音波ネブライザ…78
【3】酸素流量計 78
1)構造…78
【4】電気吸引器 79
1)種類…79
2)構造…79
3)分泌物吸引器…79
4)低圧持続吸引器…79
【5】パルスオキシメータ 79
1)構造…79
【6】カプノメータ 79
1)構造…79
【7】保育器 79
1)閉鎖式保育器…80
2)開放式保育器…80

6-3.機能点検法と滅菌・消毒 廣瀬 稔/81

【1】機能点検法 81
1)使用前(始業)の点検…81
2)使用中の点検…81
3)使用後(終業)の点検…81
4)定期的な機能点検…83
【2】滅菌と消毒 83
1)滅菌・消毒とは…83
2)呼吸療法関連用具の消毒…85

7 薬物療法 滝澤 始/87

【1】気管支拡張薬 87
1)種類…87
2)薬理作用と適応・副作用…87
【2】去痰薬 90
【3】鎮咳薬 91
1)中枢性鎮咳薬…92
2)末梢性鎮咳薬…92
【4】抗微生物薬(抗菌薬,抗結核薬,抗真菌薬,抗ウイルス薬) 92
1)総論…92
2)呼吸器感染症の基礎的事項…92
3)主な抗菌薬とその選択…93
4)副作用…96
【5】副腎皮質ステロイド薬 98
1)薬理,作用機序…98
2)適応,主な薬剤と投与法…99
3)副作用…100
【6】呼吸促進薬 102
1)呼吸中枢刺激薬…102
2)麻薬拮抗薬…102
【7】強心利尿薬 102
【8】抗アレルギー薬 102

8 吸入療法 玉置 淳/104

【1】意義と適応 104
【2】エアゾール粒子の運動性 104
【3】エアゾール粒子の分布・肺内沈着 105
【4】エアゾール発生装置の種類と特徴 106
【5】使用薬剤の種類と副作用 108
【6】評価と吸入指導 108

9 加温・加湿 宮尾秀樹/110

【1】意義および用語 110
1)加温・加湿の意義…110
2)湿度の定義…111
3)気道の生理的温湿度分布…111
4)ヒューミディフィケーションとネブライゼーション…111
【2】吸湿療法のための器具 112
1)加湿瓶…112
2)ネブライザ…112
3)加温加湿器…113
4)人工鼻…116
【3】加温加湿器使用上の注意点 117
1)小児領域での特殊な問題点…117
2)人工呼吸器本体の発生する熱や環境温による問題点…117

10 酸素療法

10-1.酸素療法の基礎 川城丈夫・太田保世/118

【1】酸素の物理学 118
1)酸素の物性…118
2)酸素の製造…119
3)活性酸素…120
4)酸素の燃焼とエネルギー代謝…120
【2】酸素の生理学 121
1)大気環境と細胞周辺の酸素分圧…122
2)動脈血酸素分圧の決定…122
3)動脈血による酸素輸送…123
4)組織の酸素分圧…124
5)混合静脈血の酸素分圧…124
【3】おわりに 125

10-2.酸素療法の実際 長尾光修/125

【1】酸素療法の目的 126
【2】酸素投与の適応 126
【3】酸素供給源の種類 126
1)中央配管方式による酸素供給…126
2)個別の酸素供給装置…126
【4】酸素供給装置の分類と器具 126
【5】酸素療法の選択と進め方 128
1)吸入装置の選択…128
2)治療の進め方…128
【6】酸素療法の副作用 129
1)酸素中毒(oxygen toxicity)…129
2)呼吸中枢の換気抑制…129
3)未熟児網膜症…129
4)吸収性無気肺…129
5)まとめ…129

11 高気圧酸素療法 今泉宗久・高橋英世/131

【1】高気圧酸素療法 131
【2】血液中の酸素に関する基礎事項 131
【3】大気圧環境における空気呼吸時の血液酸素含有量 132
【4】大気圧環境における酸素吸入と血液酸素含有量 132
【5】高気圧環境における酸素吸入と血液酸素含有量 132
【6】酸素療法における高気圧酸素治療の特殊性 132
【7】高気圧酸素療法装置 133
【8】高気圧酸素療法の治療条件 133
【9】高気圧酸素療法の適応 134
【10】高気圧酸素療法の副作用と合併症および事故 134
【11】高気圧酸素療法の安全基準について 135

12 気道確保 安本和正/136

【1】気道確保の方法 136
1)下顎挙上,エアウェイの挿入…136
2)気管挿管以外で人工呼吸可能な気道確保法…137
3)気管挿管…138
4)気管切開…140
【2】気管・気管切開チューブ 142
1)カフ…142
2)特殊なチューブ…143
3)気管切開チューブ…144
【3】気道内分泌物の除去 145
1)痰の喀出…145
2)気管内吸引…145
3)気管内洗浄…146
4)吸引操作時の合併症…146
【4】気道確保の合併症 146
1)気管挿管による合併症…146
2)気管切開による合併症…147

13 人工呼吸と人工呼吸療法

13-1.人工呼吸法 盛 直久/149

【1】概念と歴史 149
1)概念…149
2)歴史…150
【2】呼吸サイクルの構成要素 151
1)呼吸曲線(換気様式の図式化)…151
2)吸気開始相…151
3)吸気相…152
4)呼気開始相…152
5)呼気相…153
【3】人工換気の換気様式 154
1)調節換気(CMV)…154
2)部分的補助換気(PTV)…156
【4】人工換気の生体に及ぼす影響 157
1)呼吸系への影響(換気血流比の不均等)…157
2)循環系への影響…158
3)体液,腎機能への影響…158
4)中枢神経系への影響…158

13-2.人工呼吸療法 谷口博之・近藤康博・長谷川隆一/159

【1】侵襲的人工換気(IV) 159
1)導入基準…159
2)初期設定…160
3)設定の変更・調節…160
4)患者管理…161
5)ファイティング…162
6)離脱…162
【2】非侵襲的陽圧人工換気(NPPV) 164
1)NPPVとは…164
2)急性呼吸不全へのNPPV…165
3)急性期のNPPV導入の実際…166
4)慢性呼吸不全へのNPPV…167
5)慢性期のNPPV導入の実際…169

14 人工肺とECMO 市場晋吾/171

【1】人工肺 171
1)人工肺の種類…171
2)膜型人工肺の基本原理…172
【2】ECMO 172
1)概念と歴史…172
2)適応…173
3)方法…174
4)維持管理…175

15 胸部理学療法 千住秀明・川俣幹雄/176

【1】呼吸練習 176
1)目的と定義…176
2)分類と方法…177
3)適応…178
4)EBM(evidence-based medicine実証医学)…179
【2】排痰法 179
1)目的…179
2)分類と方法…180
3)適応…183
4)EBM…183
【3】運動療法 184
1)目的…184
2)運動処方の考え方…184
3)運動の種類…184
4)運動強度,持続時間,頻度…185
5)適応…185
6)EBM…185
【4】胸部理学療法の評価 185
1)目的…185
2)評価項目…185

16 呼吸不全患者の栄養管理と接し方 大貫恭正/188

【1】基礎的な栄養学的知識 188
【2】栄養状態の評価と投与エネルギーの算出 189
1)栄養状態の評価…189
2)投与エネルギーの算出…189
【3】静脈栄養と経腸栄養 189
【4】輸液剤と経腸栄養剤 190
1)輸液剤…190
2)経腸栄養剤…190
【5】最近の栄養管理の動向 191
1)腸管免疫…191
2)PEG,PEJ…191
3)病態別栄養管理…191
4)免疫増強食(IED)…191
5)共生効果(probiotics)…191
【6】呼吸不全症例に対する栄養管理 191
【7】術後肺炎症例の栄養管理 192
【8】急性期と慢性期の呼吸不全患者およびその家族との接し方 193

17 呼吸障害をもつ患者の看護 輪湖史子/194

【1】呼吸障害をもつ患者のケアニーズ 194
【2】患者ケアの目標 194
【3】ケア提供体制と看護の役割 195
【4】看護のプロセス 195
1)情報収集とアセスメント…195
2)療養生活支援のための看護の提供…195

18 新生児・乳児の呼吸管理

18-1.小児用人工呼吸器 氏家良人/205

【1】新生児や乳児の人工呼吸管理の特徴 205
【2】小児用人工呼吸器の基本構造と換気モード 206
【3】各種小児用人工呼吸器とその特徴 207
1)セクリストIV-100B…207
2)インファントスター950…208
3)ベアーカブ750…209
4)VIPバード…209
5)Baby-Log8000プラス…210
6)SLE2000…211
7)ハミングII,ハミングⅤ…211
【4】最後に 212

18-2.新生児・乳幼児の呼吸管理のポイント 田村正徳/213

【1】新生児・乳幼児の呼吸管理 213
1)胎児循環…213
2)胎児肺の発達…214
3)出生後の肺胞換気の確立と循環動態の変化…215
4)新生児の肺循環の特徴…216
5)新生児・小児の解剖学的・呼吸生理学的特徴…216
6)乳幼児の呼吸障害の徴候…217
7)新生児期に呼吸不全を来す疾患の分類と診断…217
8)新生児・乳児の呼吸管理のポイント…218
9)新生児・幼児での人工呼吸管理の実際…218
【2】特殊な呼吸管理法 220

19 ALIとARDSの呼吸療法 槇田浩史/225

【1】ALIとARDSの定義 225
【2】ALIとARDSの特徴 226
1)原因…226
2)頻度…226
3)予後…226
4)病態生理…226
【3】ALIとARDSの人工呼吸管理の実際 226
1)人工呼吸器の設定…226
2)人工呼吸器からのウィーニング…229
3)気道確保と気道管理…229
4)鎮静薬と筋弛緩薬の使用法…231
5)呼吸理学療法…231
6)補助的治療法…231
7)人工呼吸管理の合併症…231

20 慢性肺疾患の呼吸療法

20-1.COPDの診断と治療 福地義之助/234

【1】定義 234
【2】診断 235
【3】疫学 236
【4】治療 236
1)全般的治療対策…236
2)安定期治療…236

20-2.気管支喘息 大林王司・大田 健/239

【1】気管支喘息の病態・呼吸生理 240
【2】急性発作時の呼吸療法 241
1)治療方針の立て方…241
【3】長期管理における呼吸療法 243

20-3.特発性間質性肺炎 榎本達治・吾妻安良太・工藤翔二/245

【1】概念 246
【2】分類 246
【3】疫学 246
【4】臨床症状と身体所見 246
【5】血清診断マーカー 247
【6】胸部単純X線写真とHRCT 247
【7】機能検査 247
【8】診断 247
【9】薬物療法 248
【10】在宅酸素療法 248
【11】呼吸理学療法 249
【12】人工呼吸管理 249
【13】日常生活指導 249
【14】経過,予後 249

20-4.気管支拡張症 中村博幸・松岡 健/251

【1】気管支拡張症とは 251
1)疾患概念…251
2)病態…251
【2】分類 252
1)形態的分類…252
2)成因による分類…252
【3】臨床症状・身体所見 252
1)臨床症状…252
2)身体所見…252
【4】検査所見 252
1)呼吸機能検査…252
2)画像所見…252
【5】治療 252
1)目的…252
2)胸部理学療法…252
3)気道感染に対する予防…253
4)薬剤による緑膿菌感染への対策と作用機序…253
5)気道感染の起炎菌と抗菌薬の選択…253
【6】特殊な原因による気管支拡張症 253
1)immotile-dyskinetic cilia症候群…253
2)Young症候群…254
3)黄色爪症候群…254
4)Williams-Campbell症候群…254
5)Mounier-Kuhn症候群…255

21 緊急時の対応

21-1.気道異物,気胸 高木啓吾/256

【1】気道異物 256
1)原因と診断…256
2)病態…256
3)治療…256
【2】気胸 257
1)原因と診断…257
2)病態…258
3)治療…258
【3】呼吸療法中に発生した気胸の対応 258
1)診断…259
2)病態…259
3)治療…259

21-2.胸部外傷(胸腔ドレナージを含む) 田中孝也/260

【1】胸部外傷の注意点 261
【2】胸部外傷の緊急処置 261
【3】各疾患への対応 262
1)肋骨損傷,フレイルチェスト…262
2)気胸,血胸,血気胸…263
3)緊張性気胸…265
4)肺挫傷…265
5)肺裂傷,肺破裂…265
6)気管支損傷…265
7)横隔膜破裂…265
8)急性心タンポナーデ…266
【4】胸部外傷での呼吸管理の基本 266
1)換気モード…266
2)吸入酸素濃度(FIO2)…266
3)PEEPの設定…267

22 睡眠時呼吸障害 大井元晴/268

【1】睡眠時呼吸障害 268
【2】睡眠 268
1)正常睡眠…268
【3】睡眠に伴う呼吸生理学的変化 269
【4】睡眠時呼吸障害と睡眠構造の変化 270
【5】睡眠時呼吸障害の診断 271
【6】睡眠時呼吸障害のパターン 271
【7】閉塞性睡眠時無呼吸・低呼吸症候群 272
【8】中枢性睡眠時無呼吸・低呼吸症候群 273
【9】チェーン・ストークス呼吸 273
【10】睡眠時低換気 274
【11】酸素吸入と睡眠時呼吸障害 275

23 在宅呼吸管理 安藤守秀/277

【1】慢性呼吸不全の病態生理 277
1)慢性呼吸不全とは…277
2)慢性呼吸不全の管理の基本的考え方…278
【2】長期酸素療法と在宅酸素療法 278
1)長期酸素療法(LTOT)…278
2)在宅酸素療法(HOT)…279
【3】在宅人工呼吸療法(HMV) 281
1)HMVとは…281
2)NPPVによるHMV…281
3)TPPVによるHMV…283
4)HMVの抱える課題…284
【4】まとめ 284

24 周術期の呼吸療法 関根康雄・藤澤武彦/286

【1】手術患者の術前呼吸機能の評価と術後呼吸器合併症の予防対策 286
1)術前呼吸機能検査…286
2)術後予測肺機能からみた手術適応評価…286
3)術後呼吸器合併症の予防対策…287
【2】術後呼吸不全の病態生理 289
1)術後急性期の呼吸抑制…289
2)呼吸不全発症の機序と評価…289
3)慢性呼吸器疾患合併患者の術後呼吸不全…290
【3】術後呼吸器合併症とその治療 291
1)無気肺…291
2)肺炎…292
3)肺瘻,気胸…292
4)間質性肺炎(IP)…293
5)急性肺傷害,急性呼吸促迫症候群…293
6)胸水貯留…293
7)気管・気管支吻合部縫合不全…293
8)膿胸…295
9)肺血栓塞栓症…295

25 心肺(脳)蘇生法 山下 進・前川剛志/296

【1】一次救命処置(BLS) 297
1)BLSの流れ…297
2)自発呼吸の確認,循環のサインの確認…297
3)気道確保,口対口人工呼吸(マウストゥマウス)…297
4)心臓マッサージ…298
5)AEDの使用による除細動…298
【2】二次救命処置(ALS) 298
1)心停止の心電図…298
2)除細動…298
3)薬剤投与…299
4)asystole  PEAアルゴリズム…299
5)VF/pulseless VTアルゴリズム…299
【3】脳保護 (脳蘇生) 治療 300
1)人工呼吸器の設定…300
2)脳低温療法…301

26 モニター

26-1.酸素化能 崎尾秀彰・大津 敏/302

【1】呼吸関連モニター 302
【2】PaO2 302
【3】酸素化能の指標 303
【4】パルスオキシメータ 303
【5】PaO2/FIO2 304
【6】A-aDO2 304

26-2.換気能の評価 崎尾秀彰・大津 敏/305

【1】換気能モニター 305
【2】呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2) 305
【3】人工呼吸器からの離脱 306
【4】死腔換気率(VD/VT) 307
【5】インピーダンスニューモグラフィ 307
【6】インダクタンスプレチスモグラフィ 307
【7】ピークフロー(PEF) 307

26-3.換気力学 崎尾秀彰・大津 敏/308

【1】換気力学 308
【2】気道内圧 308
【3】換気量 309
【4】気流速 309
【5】コンプライアンス 309
【6】静的圧-容量曲線 310

26-4.循環動態 川崎孝一・上村裕一/311

【1】呼吸と循環の相互反応 311
1)自発呼吸時の循環変動…311
2)人工呼吸時の循環変動…311
【2】循環系モニター 311
1)心電図…311
2)動脈圧(いわゆる血圧)…313
3)中心静脈圧…315
4)肺動脈カテーテル…316
5)心拍出量…318
6)心臓超音波法…319

27 呼吸器関連用語・略語集

27-1.基本用語・略語集 小山信一郎・堀江孝至/320

【1】呼吸機能検査に使われる略語・記号 320
【2】気体の状態の表現 321

27-2.関連用語・略語集/322

(1)肺機能…322
(2)人工呼吸…323
(3)循環系…324
(4)その他…325

呼吸療法関連ホームページ一覧/327

改訂第2版 序

本書の初版が発行されてから,早くも13年が経過した。今回,改訂版の発刊にあたり初版の序文との重複を避けつつ,3学会呼吸療法認定士認定制度の歩みについてここに略述しておきたい。

そもそもの発端は1974年,神戸大学医学部の岩井誠三教授(当時)が,呼吸療法士(仮称)制度をわが国に根付かせたいと日本麻酔学会に提言されたこと にあった。提言の内容は,「特別の教育を施したうえの国家資格として,ベッドサイドにおける必要な呼吸療法上の医療行為ができる新しい職種を創設したい」 ということであった。日本麻酔学会はこの提言を受けてただちに呼吸療法士検討委員会を設置し,関係諸学会への協力要請と呼吸療法士制度の導入,国家認定に 向けての活動を開始した。

1983年に3学会による合同呼吸療法士委員会が発足し,10指を超える諸学会諸団体の協賛も得た。ただし国家認定ということについては活動は必ずしも 行政の賛同を得るには至らなかった。しかし委員会としては当面まず実績を積み重ねるべく,呼吸療法士の育成を目指して1984年から年1回の講習会を開くこととした。

1987年に臨床工学技士法が成立するとともに,それ自体は歓迎すべきことであったにせよ,呼吸療法士の誕生はむしろ遠ざけられる傾向となってしまっ た。ここに至って委員会は,国家資格に固執して百年河清を待つよりはまずは目標を学会認定制度に変更することとした。

1994年に従来の委員会を発展的に解消して3学会合同呼吸療法認定士認定委員会を発足させ,学会認定制度に向けて具体的な検討を開始した。同時に講習 会のさらなる充実を図り,1996年の秋に2,197名の応募者を迎えて第1回認定試験を施行した。その結果,第1年度として1,510名の認定士が誕生 した。その後,年を追って応募者は一旦は漸減するかにみえたが,第6回以降は年々増加の一途を辿ってついには講習会施行の許容人数を超え,現在は 3,000名を上限としてそれ以上は制限せざるをえない状況に立ち至っている。第9回(2004年)までの合格者総数は12,461名であり,認定は5年 毎に更新することとしている。

以上が沿革の概略であるが,この歩みについては3学会の委員はもとより,認定申請のための講習会および認定更新にかかわる講習会の講師要員,また試験問 題作成や試験実施についての要員として非常に多くの方々の協力を得た。なお事務局の事務業務および試験に関する業務は医療機器センターに委託してその厳正 が期されている。

以上のように,来し方を振り返るにつけても,それは上に述べた多くの方々の惜しまざるご協力の賜物であり,この場を借りて深甚なる感謝をささげるものである。

今回の発刊は3学会の編集によるが,その委員の中でも特に藤沢武彦,長尾光修,安本和正の3教授には中心になって編集の労をおとりいただいた。さらに執筆者の先生方,ご協力をいただいた克誠堂出版に厚く御礼を申し上げる。

沼田 克雄
(3学会呼吸療法認定士認定委員会委員長)

初版序

人間の生体現象の中で生命に直接関係ある「呼吸」が傷害されることは由々しきことである。そしてこの障害は単にそれを司る臓器である肺や胸廓の変化のみで起こるに止まらず肺は全身病の鏡と言われるごとく全身各臓器の変化を反映している。一方呼吸の障害はまた全身各臓器に変化を及ぼし,いわゆる多臓器障害の一因ともなる。だからこの呼吸の障害に対応するには直接関わる肺・胸廓等のみに目を向けるのではなく全身の管理を伴って完成される複雑なものである。

このような広範な複雑なしかも大切な呼吸障害への対応は今までは医師にしろ看護婦にしろその他の職種でもその広範な業務の一部として取り扱ってきたが高度先駆的医療技術の発達と患者を全人的に見る風潮のなかではやはり専門的に訓練を受けた人々によって受け持たれるのが理想である。医師については呼吸に関係ある学会別の専門医認定医制度が発足している。

このような観点に立って私どもは十数年前より「呼吸療法士」の認定制度について検討すべく日本胸部疾患学会,日本胸部外科学会,日本麻酔学会の3学会を中心として3学会合同呼吸療法士検討委員会(委員長 沼田 克雄,事務局 大村 昭人)を持っている。しかし身分法の制定については困難な問題もあるのでこれには地道に対応することとして一方で現実に役立ち将来に連った「呼吸療法研修会」を行うこととして本年で9回目を迎えた。これは医師,看護婦,臨床工学技士,理学療法士,等すでに医療に関わる免許を持っているものに対し呼吸療法というより専門分野の知識と技術を与えるものである。

この3学会主催の研修会と平行して日本工学治療研究会呼吸器分化会と呼吸療法セミナーが主催する「呼吸療法セミナー」が平成元年より,臨床工学技士中央治療室技術研究会も昭和63年より呼吸を中心に学術セミナーを持っている。理学療法士も呼吸・肺理学療法に関心のある人々が集まって講習会を持ち積極的に対応し初めた。

看護については今までも単発の呼吸看護に関するものが商業ベースで行われていたが,在宅酸素療法の普及,在宅人工呼吸の増加に伴い研究所(東京都神経研等),保健所等での地域ケアーセミナーも呼吸管理を中心に行われている。また過去3年行われた国際性を持った「在宅呼吸管理看護研修会」の参加者を中心に呼吸看護のセミナーが持たれている。

一方学会活動をみても今まで呼吸管理を専門としてきた研究会は11年間の歴史の後平成3年8月より日本呼吸管理学会として発足した。本学会は医師に限らず広く呼吸管理に関わる看護婦,臨床工学技士,理学療法士,MSW等にも門戸を広げている。また人工呼吸研究会も12年の経験をもとに平成3年7月日本人工呼吸学会として発足した。これらは技術の急速な発展とともに高齢化社会,在宅高度医療の普及等医療の在り方の推移の結果と思われる。

こうして高度専門化した医療はそれに従事する職種のなかでもまた専門化していく必要があるのではないだろうか。臨床工学技士を見ても4つの専門分野の1 つとして呼吸療法がありいずれ専門化されるであろうし,看護も長く語られなかった専門看護婦制も検討中と聞いている。

厚生省も臨床工学技士を初めとする医療関係者が専門領域の研鑽を積み,資質の向上をはかることが望ましいと期待している。

このような時期に現状への対応と将来へのステップとして何が呼吸療法かを明確にかつ具体的にしておくことが必要である。そこで今回これをふまえ,かつ専門分野の学習のために3学会の編集による「呼吸療法テキスト」を発刊することとした。

本書を中心に臨床経験とあわせてますます高度化していく医療のなかで呼吸を中心とする全人的患者治療のためにお役に立てば編,著者一同これに替わる喜びはない。お忙しい中執筆を担当して下さった先生方,発刊にご協力下さった克誠堂出版,今井 彰,栖原イズミ,古賀 教子氏に感謝する。

芳賀 敏彦
(国立療養所東京病院 名誉院長)