ADVANCE SERIES II-9 骨延長術:最近の進歩

ADVANCE SERIES II-9 骨延長術:最近の進歩

監修 東京大学 教授 波利井清紀
編集 北海道大学 教授 杉原平樹
ISBN 978-4-7719-0250-3
発行年 2002年
判型 A4
ページ数 240ページ
本体価格 19,000円(税抜き)
電子版 なし


I 骨延長術の歴史(杉原平樹)
はじめに
A.長管骨における骨延長術
B.頭蓋顔面骨における骨延長術
まとめ

II 基礎
1.長管骨の骨延長と基礎…(浜西千秋)
A.臨床的基礎知識
B.仮骨延長の基礎
C.最新の知見
まとめ

2.下顎骨
骨延長における骨再生機序…(米原啓之,小室裕造)
はじめに
A.下顎骨骨欠損部修復過程
B.下顎骨骨延長骨再生過程
C.延長時のX線像の検討
D.骨癒合時期について
E.過去に報告されている観察結果について
F.組織学的観察結果についての考察
G.骨膜の関与について
H.骨再生時の軟骨形成について
I.拡大力および延長頻度の影響

骨延長の基礎…(川嶋邦裕,井川浩晴,杉原平樹)
はじめに
A.延長手技
B.イヌ下顎骨仮骨延長実験
C.結果
D.考察

関節頭に対する影響…(米原啓之,高戸 毅)
はじめに
A.顎関節の解剖
B.顎関節の運動
C.下顎骨変形の分類
D.各種骨延長装置
E.骨延長方向の影響
F.関節頭への影響についての文献的考察

培養骨膜由来細胞による骨延長部における骨形成促進について…(多久嶋亮彦)
はじめに
A.実験1
B.実験2
C.考察

3.上顎骨・中顔面…(小室裕造)49
はじめに
A.歴史
B.上顎・中顔面骨延長の基礎的研究の現況および将来の可能性
C.考察

4.頭蓋骨…(福田慶三)
はじめに
A.概念
B.対象と方法
C.結果
D.考察

III 臨床
5.部位
長管骨…(安井夏生)
はじめに
A.Ilizarov法の概念
B.骨延長の適応
C.術前の準備
D.手技
E.術後管理
F.症例
G.考察

指趾骨…(柴田 実)73
はじめに
A.概念
B.解剖
C.術前の評価
D.骨延長術による治療
E.骨延長術以外の延長手技
F.症例
G.考察

下顎骨:片側…(井川浩晴,川嶋邦裕,佐藤嘉晃)
はじめに
A.概念
B.適応
C.術前後の評価
D.手技
E.術後管理
F.症例
G.考察

下顎骨:両側…(高戸 毅,須佐美隆史)
はじめに
A.概念
B.適応
C.術前の評価
D.手技
E.術後管理
F.症例
G.考察

上顎骨:上顎,中顔面の骨延長術…(秋月種高,大森喜太郎)
はじめに
A.骨延長器
B.上顎,中顔面の各種骨延長術の実際
C.症例
D.考察

上顎骨:上下顎同時…(佐藤兼重,鈴木啓之)
はじめに
A.概念
B.解剖
C.術前の評価と準備
D.手技
E.術後管理
F.症例
G.考察

上顎骨:Le Fort III…(今井啓介,田嶋定夫)
はじめに
A.術前の評価
B.手技
C.術後管理
D.症例
E.考察

上顎骨:Le Fort IV…(田嶋定夫,今井啓介)
はじめに
A.術前の評価
B.手技
C.術後管理
D.症例
E.考察

頭蓋骨…(菅原康志)
はじめに
A.手技
B.症例
C.考察

6.デバイス
外固定…(平林慎一,菅原康志)
はじめに
A.外固定型骨延長器の分類
B.代表的な外固定型骨延長器とその特長
C.今後の展望

内固定…(倉片 優)
はじめに
A.特徴
B.デバイス
C.延長器の装着
D.症例
まとめ

7.疾患
唇顎口蓋裂…(佐藤兼重,保阪善昭)
はじめに
A.概念と意義
B.術前の評価
C.手技
D.術後管理
E.症例
F.考察

Hemifacial microsomia…(井川浩晴,川嶋邦裕)
はじめに
A.概念
B.分類
C.治療方針
D.術前の評価
E.手技
F.術後管理
G.症例
H.考察

Treacher Collins症候群…(佐藤博子,中島龍夫)
はじめに
A.概念
B.手技
C.症例
D.考察
まとめ

小下顎症…(平野明喜)
はじめに
A.小下顎症(両側性)の特徴
B.手術の適応
C.従来の下顎骨骨切り術の適応
D.骨延長
E.両側下顎延長
F.問題点と対策
G.症例

頭蓋骨早期癒合症…(今井啓介,田嶋定夫)
はじめに
A.術前の評価
B.手技
C.術後管理
D.症例
E.考察

8.分析・矯正
顎骨骨延長の周術期における矯正…(佐藤嘉晃,日下部豊寿,飯田順一郎,井川浩晴)
はじめに
A.概要
B.解剖および術前後の評価
C.矯正治療
D.症例
E.考察

中顔面骨延長術における軟部組織の変化と延長骨の後戻りについて…(秋月種高,大森喜太郎)
はじめに
A.中顔面骨延長術における軟部組織の変化
B.中顔面骨延長術における延長骨の後戻りの観察
C.考察

9.骨トランスポート法…(高戸 毅,志田裕子)
はじめに
A.概念
B.適応
C.術前の評価
D.手技
E.術後管理
F.症例
G.考察

索 引

過去20年間に形成外科領域における手術手技はきわめて急速な進歩を遂げた。Microsurgery,遊離皮弁,筋皮弁,頭蓋顔面外科,tissue expansion,膜性骨延長術,内視鏡手術などの新たに開発・臨床応用された手技は,形成・再建外科の適応を拡大し,当該患者のQOL向上に多大な恩 恵をもたらしている。

頭蓋顔面骨の骨延長術は,1990年前後の動物実験による報告以来,過去10年間で,多くの基礎・ 臨床報告と精力的な骨延長器機の開発を基礎に,急速に臨床応用が普及し,現在は形成外科の臨床で広く用いられている。先行した長管骨仮骨延長術と異なり, 頭蓋顔面領域における骨延長術では,咬合機能などを熟慮した複雑な曲面での骨延長が求められる。したがって,三次元的骨延長が可能な小型延長装置の開発や 治療期間の短縮など,今後,頭蓋顔面骨の骨延長術固有の課題を解決し,本法の適応を確立することで,21世紀における頭蓋顔面形態異常に対する低侵襲手術 としての発展が期待される。

本書では,長管骨をふくめ頭蓋顔面骨骨延長に関する基礎と臨床について,豊富な経験を持つ先生に創意・工夫や今後の課題を,分かりやすく記述していただいた。

本書が,形成外科医のみならず外科医全般にとっても有用な成書となり,また本法をさらに飛躍・発展させるための一助となれば幸いである。

2002年4月
北海道大学医学部形成外科学教室
杉原 平樹