症状・疾患からみた呼吸機能検査の利用法

症状・疾患からみた呼吸機能検査の利用法

著者 東京医科歯科大学保健管理センター 谷合 哲、東京大学医学部検査部 滝澤 始
ISBN 4-7719-0226-7
発行年 2000年
判型 B5
ページ数 224ページ
本体価格 6,000円(税抜き)
電子版 なし


要旨

呼吸機能検査は,呼吸器関係医師以外には医学生,一般の医師,看護職,臨床・衛生検査技師等にとって,取りつきにくく敬遠したくなる分野といわれている。 確かにこの分野では,まず難しそうな数式を使った解説から始まり,通常の医学とは一風変わった学問体系をもっており,よく理解できず,あまり身につかず, 実際にどのように使えばよいのかを理解できずに終わってしまうのが一般的なようである。

しかし,医師は誰でも日常診療において,呼吸器疾患を合併症にもつ患者を担当する機会が多く,呼吸機能検査を基礎知識として理解していないと診療に支障 を来すことも多い。看護職も同様に,患者の病態を把握するためには呼吸機能障害の理解が必要なことも多い。臨床・衛生検査技師はとかく検査技術の修得のみ に終始し,患者の状況を理解することができないことが多い。

そこで本書では,はじめに第1章において,呼吸生理学の理論について,ひととおりできるだけ簡略に解説して,初学者の手引きになるようにした。次に第2 章において,呼吸器病変の特異的な症状があるときに,呼吸機能検査を用いてその生理学的な変化を解明し,鑑別診断に到達するよう記述した。第3章におい て,諸種の呼吸器疾患について,呼吸機能検査を中心にして,種々の検査で診断に到達する方法を鑑別診断的に記述した。また各種疾患では呼吸機能の変化がど のように表れ,どのような検査をし診断・治療に導くかを,症例をあげて記述した。第4章では呼吸生理学で用いられる種々の数式,表,ノモグラム類を列挙 し,さらに呼吸機能検査結果の正常値を列挙して随時参考に供するようにした。

本書はこのような趣旨で作成したもので,医学生,医師の初学者,看護職,臨床・衛生検査技師等の呼吸機能への手引き書として役立つように作成した。難解 といわれる呼吸機能検査に入門する手がかりとなり,使いこなせるようになるための一助になれば幸いである。

2000年8月

第I章呼吸機能検査の基礎/1

呼吸機能検査の種類と進め方(滝澤 始)2呼吸機能検査にあたっての注意(谷合 哲)5スパイロメトリー(谷合 哲)7フローボリューム曲線(宮里逸郎)13残気量(神辺眞之,木村俊樹,
山肩満徳,川本 仁)17換気の不均等分布(滝澤 始)23拡散能検査(千田 守)26血液ガス分析(戸島洋一,木村 弘)30換気力学(冨田友幸)38負荷試験(東條尚子)44呼吸調節(市岡正彦)49

第II章症状から鑑別診断をするための呼吸機能検査/55

呼吸困難(齊藤 修,堀江孝至)56喘 鳴(山田和人,大田 健)61息切れ(谷合 哲)67咳・痰(滝澤 始)70チアノーゼ(久田哲哉)74

第III章診断から病状判定,治療のための呼吸機能検査/77

肺 炎(千田 守)78気管支喘息(滝澤 始)86慢性気管支炎(東條尚子)94肺気腫(冨田友幸)99間質性肺炎(谷合 哲)106肺結核(神辺眞之,川本 仁,
山肩満徳,デリシャド・イミド)111じん肺(宮里逸郎)117肺 癌(石井 彰)125上気道閉塞を来す疾患(寺本信嗣)132胸膜炎・胸膜疾患(久田哲哉)140気 胸(市岡正彦)145睡眠時無呼吸症候群(赤柴恒人,堀江孝至)151その他の疾患サルコイドーシス(滝澤 始)158過敏性肺炎(宮坂 崇,大田 健)162肺高血圧症(石井 彰)167急性呼吸促迫症候群(戸島洋一,木村 弘)171びまん性汎細気管支炎(有岡 仁,大田 健)176人工呼吸(寺本信嗣)180酸素療法(戸島洋一,木村 弘)185

第IV章付 録/193

計算式(谷合 哲)194表およびノモグラム(谷合 哲)197正常値(滝澤 始)206

索 引

211