新しい肺胞性肺炎・間質性肺炎の臨床

新しい肺胞性肺炎・間質性肺炎の臨床

ISBN 4-7719-0203-8
発行年 1998年
判型 B5
ページ数 ページ
本体価格 7,000円(税抜き)
電子版 なし


1 レジオネラ肺炎

1 はじめに 1
2 歴史的背景 1
3 細菌学的特徴 2
4 臨床像 3

1)ポンティアックク熱 3 2)レジオネラ肺炎 4

5 感染様式 6
6 診断 6

1)塗抹標本 7 2)培養法 7 3)血清抗体価測定 7 4)尿中抗原検出 7 5)PCR法による特異遺伝子の検出 8

7 治 療 9
8 おわりに 10

2 クラミジア肺炎

1 定義・病因 11
2 疫学 11
3 臨床症状 12
4 検査成績 13
5 画像所見 13
6 病理組織所見 14
7 治 療 14
8 合併症 15
9 予 後 15

3 ブランハメラ肺炎

1 はじめに 17
2 ブランハメラ肺炎の歴史 17
3 ブランハメラの呼吸器病原性に関する研究 18

1.各種ブランハメラ呼吸器感染症の病態と起炎性 18
2.ブランハメラ呼吸器感染症における抗体の役割 19
3.咽頭上皮細胞への細菌付着性とブランハメラの呼吸器病原性 21
4.口腔内常在細菌とブランハメラの相互作用 21
5.小児と健康成人の咽頭細菌叢 22

4 ブランハメラ肺炎の臨床上の特徴 22
5 ブランハメラ肺炎の診断と鑑別疾患 23
6 ブランハメラ肺炎の治療 23
7 おわりに 25

4 Pc肺炎

1 はじめに 27
2 Pcの位置づけ,感染形式 27
3 疫学 28
4 病態 28
5 病理 29
6 臨床 31
7 検査所見 32

1.血液検査 32
2.気管支肺胞洗浄 32
3.X線像 32

8 診 断 33

1.検体採取法 33
2.Pc検出法 3

9 治療 35

1.原因治療薬 35

1)TMP-SMX合剤 35 2)pentamidine 35 3)その他の薬剤 36

2.ステロイド剤の併用 36

10 予防 36

1)TMP-SMX合剤の内服 36 2)pentamidine吸入 36

11 経過・予後 37

5 慢性好酸球性肺炎

1 概念 40
2 病因 40

1.病理組織学的所見 41
2.病態生理 41
3.X線所見 42
4.臨床所見 42
5.検査所見 44

3 診断および鑑別診断 45
4 治療 45
5 経過・予後 46
6 症例 46

6 肺胞炎としての急性好酸球性肺炎

1 はじめに 49
2 肺胞炎の定義と意義 49
3 急性好酸球性肺炎の臨床病態 50
4 壁在性肺胞炎 51
5 好酸球性腔内肺胞炎 53
6 好塩基球とマスト細胞の好酸球との関係 55
7 リンパ球性肺胞炎 56
8 好酸球VS好中球性肺胞炎 57

7 夏型過敏性肺炎

1 定義・概念 60
2 疫学 60
3 病理 61
4 病態生理 62

1.原因抗原と発症環境 62

1)原因抗原…62 2)発症環境 64

2.免疫学的機序 64
3.宿主要因と修飾因子 65

5 臨床症状 66
6 検査所見 67

1.一般検査所見 67

1)血液学的検査 67 2)胸部X線写真 67 3)肺機能検査 67 4)BALF所見 68 5)病理組織学的検査 68

2.免疫学的検査所見 68

7 診断 68
8 鑑別診断 68
9 治療・予後 70
10 予防 70

8 小柴胡湯肺臓炎

1 はじめに 72
2 症例 72
3 小柴胡湯と肺病変の形成機序 77
4 IFNとの相互作用 78
5 おわりに 79

9 空調病

1 はじめに 80
2 空調病の経緯と概念 80

1.急性型 80
2.潜行型 81

3 症状と検査成績 82

1.臨床症状 82
2.検査成績 82

4 空調器の形式と起因抗原 82
5 治療 83
8 類縁疾患 84

1.加湿器熟 84
2.sick building syndrome,building related illnes 84

10 加湿器肺

1 はじめに 86
2 加湿器肺の発見 86
3 加湿器肺の臨床症状 87
4 加湿器肺の検査成績 87
5 わが国の加湿器肺症例 87
6 加湿器熟 88
7 おわりに 91

11インターフェロン肺臓炎(間質性肺炎)

1 概念 92
2 IFNの作用と自己免疫 92

1.IFNの種類および作用機序 92
2.IFNの免疫機能調節効果と自己免疫 93
3.IFN治療と自己免疫 94
4.IFNによる間質性肺炎の発症機序 95
5.IFNと小柴胡湯の肺線維化における好中球への関与 95

3 IFN間貿性肺炎 96

1.IFN間質性肺炎の発症頻度 96
2.漢方薬との併用 96
3.IFN投与期間および総投与量 96
4.症状 97
5.胸部X線写真 97
6.胸部CT 97
7.血液ガス所見 97
8.病理組織学的所見 97
9.気管支肺胞洗浄液(BALF) 99
10.薬剤リンパ球刺激試験(D-LST) 99
11.治療および予後 99

4 IFN間質性肺炎の診断および治療 99

1.診断 99
2.治療 100
3.IFN投与に際しての注意 100

5 症例 100

12 リンパ球性間質性肺炎

1 はじめに 105
2 臨床症状・検査所見 106
3 病因と合併疾患 106
4 病理所見・診断方法 108
5 治療・予後 111

13 MSSA・MRSA肺炎

1 はじめに 114
2 MSSA・MRSA肺炎の歴史 114
3 MRSAの耐性機序 116
4 MSSA・MRSA肺炎の臨床症状・所見 118
5 MSSA・MRSA肺炎の診断と鑑別診断 119
6 喀痰分離MRSAの起炎性判定 121
7 MSSA・MRSA肺炎の経過と予後 122
8 MSSA・MRSA肺炎の治療 123
9 おわりに 123

14 Streptococcus milleri肺炎・膿胸

1 はじめに 126
2 S. milleri groupの細菌学的特徴 126

1.発見の経緯 126
2.細菌学的特徴 127

3 S. milleri groupの臨床学的検討 128

1.患者背景 128
2.感染経路 129
3.S. milleri group呼吸器感染症の診断 129
4.経過・予後 132
5.治療 133

4 おわりに 134

15 近年の薬剤性肺炎

1 概念 135
2 疫学 135
3 薬剤性肺炎の病態 136
4 薬剤性肺炎を起こす薬剤の分類 138
5 薬剤性肺炎の発症機序 138
6 抗癌・免疫抑制剤による肺炎 140

1.アルキル化剤 140

1)busulfan 140 2)cyclophosphamide 142

2.ニトロソワレア 142 3.代謝拮抗剤 142

1)methotrexate 142

4.抗生物質 143

1)bleomycin,peplomycin 143

5.植物アルカロイド剤とmitomycin 143 6.その他 144

1)procarbazine 144

7 降圧・利尿剤による薬剤性肺炎 144

1)hydrochlorothiazide 144

8 抗生物質・化学療法剤による薬剤性肺炎 144

1)サルファ剤 145  2)nitrofurantoin 147 3)ペニシリン系,セフェム系,テトラサイクリン系薬剤 148 4)抗結核薬 149

9 その他の薬剤性肺炎 149

1)金塩 149  2)penicillamine 152 3)bucillamine 152 4)消炎・鎮痛・解熱剤…152  5) 5)消炎酵素剤 152 6)抗不整脈剤 152 7)その他 153

10 薬剤性肺炎の診断 153
11 薬剤性肺炎の治療 155
12 薬剤性肺炎の予後 155

16 ペニシリン耐性肺炎球菌肺炎

1 はじめに 162
2 ペニシリン耐性肺炎球菌の歴史 162
3 わが国におけるペニシリン耐性肺炎球菌の蔓延状況 163
4 ペニシリン耐性肺炎球菌の定義 163
5 肺炎球菌のペニシリン耐性機構 163
6 肺炎球菌の病原性 164
7 宿主免疫応答とその調節 164
8 肺炎球菌感染症の臨床像 165

1.呼吸器感染症 166

1)発症頻度と予後 166 2)成因および進展様式166 3)臨床症状および検査所見 167 4)診断 167

9 ペニシリン耐性肺炎球菌の薬剤感受性 168
10 ペニシリン耐性肺炎球菌性肺炎の治療 168
11 おわりに 169

17 高齢者の嚥下性肺炎

1はじめに 171
2 嚥下性肺炎の頻度 171
3 高齢者肺炎の難治化要因と誤嚥 172
4 誤嚥の臨床的意義および背景因子 173
5 嚥下性肺炎の発生過程 174
6 正常の嚥下機能および検査法 176
7 嚥下性肺炎の臨床症状 176
8 嚥下性肺炎の検査法 178

1.胸部X線所見 178
2.嚥下性肺炎の起炎菌とその細菌学的検索 178

1)唾液の混入の度合いを評価できる 179 2)細菌の染色性,形より起炎菌をある程度想定できる 180 3)生体の反応を観察することができる 180 4)抗菌剤の菌への反応を評価できる 180 5)誤嚥の有無を推定できる 180

9 予後 181
10 誤嚥および嚥下性肺炎の予防 181

1.脳,精神運動機能の活性化 181
2.口腔ケア 181
3.食事の形状および介護 182
4.薬剤の不適切な使用の禁止 182
5.胃瘻造設 182

11 嚥下性肺炎の治療 183

1.異物の除去 183
2.低酸素血症の補正 183
3.輸液療法 183
4.ステロイド投与 183
5.抗菌薬 183

12 おわりに 184

索引 187

本書は呼吸器病学の領域で過去20年来新しく注目されるようになった肺炎・肺臓炎の概念、歴史、疫学、病理、臨床像、診断、治療、予後を解説し、併せて炎症免疫細胞の動態を中心とした諸種サイトカインの役割にも光を当てることを目標として企画された。

一方、薬剤や環境微生物、室内機器微生物に由来する種々の間質性肺炎が増加し、その発症機構が解明されてきた。これらは夏型過敏性肺炎、小柴胡湯肺臓炎、空調病、加湿器肺、インターフェロン肺臓炎、その他多種類の薬剤肺臓炎である。

さらに特異な位置を占めるものにリンパ球性間質性肺炎がある。長年にわたる論議の積み重ねが近年ようやくまとまりに近づいた感があり、その概要の解説は時宜にかなうと思われる。好酸球性肺炎は、長年の間pulmonary infiltration with eosinophiliaと称する大枠の中で扱われてきたが、1989年Allenの診断規準の提唱から、急性好酸球性肺炎が分離されてからこの一群の病像が鮮明となっている。

また高齢化社会の進展につれ高齢者嚥下性肺炎は増加しており、その重要性が認識されつつある。
執筆者はいずれも第一線で活躍中の方々であり、多大の御協力を心から感謝する。本書が臨床の現場において役立つことを疑わない。

平成10年5月
本間日臣