ワンランク上の心臓麻酔に必要なエビデンス

ワンランク上の心臓麻酔に必要なエビデンス
編集 石黒芳紀
ISBN 978-4-7719-0507-8
発行年 2018年
判型 B5
ページ数 184ページ
本体価格 5,400円(税抜き)


正誤表

1.主要ガイドラインの概説
1 2014 AHA/ACC Guideline for the Management of Patients with Valvular Heart Disease(永谷雅子・金 信秀)
2 2014 ACC/AHA Guideline on Perioperative Cardiovascular Evaluation and Management of Patients Undergoing Noncardiac Surgery(高橋京助)

2.術前内服薬について(井上聡己)
Q1 アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI),アンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)は術当日続けるべきか?
Q2 シルデナフィル内服中の患者で麻酔管理における問題点は何か?
Q3 経口FXa阻害薬のリバースはあるか?

3.薬理
1 吸入麻酔薬の心筋への作用(曽我朋宏・川人伸次)
Q4 デスフルランの心筋への作用は他の吸入麻酔薬と差はあるか?
2 静脈麻酔薬の心筋への影響,薬理作用について(池崎弘之・中里桂子)
Q5 レミフェンタニルの心保護作用とは?
Q6 心臓外科術後せん妄はデキサメデトミジンとプロポフォールのどちらが少ないのか?

4.モニタリング
1 NIRS(吉谷健司)
Q7 局所脳酸素飽和度(rSO2)を指標に介入は心臓術後に高次脳機能を改善するのか?
Q8 先天性心疾患で慢性低酸素症の小児の脳酸素飽和度は正常値を示すのか?
Q9 人工心肺中の脳血流の自動調節能の上限を超えた血圧は術後せん妄と関係するのか?
2 心拍出量(辛島裕士・梅原 薫)
Q10 拍出量モニタリングは非心臓手術の術後合併症を減らすことができるか?
Q11 完全に侵襲のない心拍出量モニターは正確か?
Q12 どの心拍出量測定モニターが心臓手術後管理に有用か?
3 動脈圧(柿本大輔)
Q13 術中血圧はどの程度に維持すればよいか?
Q14 上腕動脈へのカテーテル挿入は避けるべきか?
Q15 人工心肺中の最適な動脈圧はどのように決定するか?

5.経食道心エコー
1 弁疾患(澤井俊幸)
Q16 Edge-to-edge法による僧帽弁形成術後の術中弁狭窄所見はどの程度まで許容されるか?
Q17 MitraClip(R)施行時の術中経食道心エコーでの弁口評価基準は?
2 心筋壁運動(林 健太郎・遠山裕樹・国沢卓之)
Q18 左室壁運動の評価を正確に行えるのはどの指標か?
Q19 右室壁運動の評価を正確に行えるのはどの指標か?
3 三次元エコーの応用(富樫 敬)
Q20 肺動脈高血圧症患者における右室形状の三次元エコー解析は臨床的に評価できるか?
Q21 一心拍三次元エコーを使った右室圧・容量負荷患者における心室定量化の正確性と再現性は?

6.止血凝固
1 凝固のモニタリング(香取信之)
Q22 音響共振を利用した血液流動性測定法は周術期のpoint-of-care凝固モニターとして活用できるか?
Q23 Point—of—care血液凝固能検査は心臓外科手術における輸血量を減少できるか?
2 血小板機能評価と臨床(石黒芳紀)
Q24 低体温とプロタミンは血小板機能障害を増幅するか?
Q25 チカグレロルの妥当な術前休薬期間はどのくらいか?
Q26 血小板減少による出血はフィブリノゲンで代償できるか?
3 凝固のメカニズム(中嶋康文)
Q27 血液中の血小板転写産物の役割とは?
Q28 静脈性血栓塞栓症におけるNETsの新しい役割とは?
4 ヘパリン・プロタミンの臨床(木倉睦人)
Q29 ヘパリン・プロタミン滴定器は止血管理に有用か?
Q30 術前のアンチトロンビン投与はヘパリン抵抗性を予防するか?
Q31 プロタミンはどの薬物よりも術中アナフィラキシーショックと関連するか?
5 DOAC(川上裕理)
Q32 心房細動患者の抗凝固薬を中止すると,脳イベントのリスクはあがるのか?
Q33 ダビガトラン内服中の患者へのイダルシズマブの投与は有効か?
Q34 抗凝固薬を内服している患者の緊急手術の合併症のリスクはどれほど高いのか?
6 抗血小板薬と心臓手術(尾前 毅)
Q35 年齢は,アスピリンの副作用を増加させるか?
Q36 アスピリンの継続は手術に影響するのか?
Q37 チエノピリジン系抗血小板薬の継続は手術に影響するのか?
7 抗線溶薬と心臓手術(岡澤佑樹)
Q38 トラネキサム酸は,CABGを受ける患者において術後合併症を増やすか?
Q39 成人における人工心肺下の心臓手術で適切なトラネキサム酸投与量は?

7.輸血および血液製剤
1 輸血製剤の使用,適応,効果,副作用について(畠山 登)
Q40 赤血球液の保存期間は重症患者の生命予後に影響を及ぼすか?
Q41 心臓手術において血小板輸血は出血や有害転帰に独立して影響を及ぼすか?
Q42 心臓手術における大量輸血において輸血成分の割合が臨床転帰と生存に影響を及ぼすか?
2 フィブリノゲン製剤の臨床使用(吉永晃一)
Q43 フィブリノゲン濃縮製剤の投与により,大血管手術における血液製剤使用量を削減できるか?
Q44 フィブリノゲン濃縮製剤の投与により,ハイリスク心臓手術における血液製剤使用量を削減できるか?
3 凝固因子製剤の臨床使用(香取信之)
Q45 心臓移植手術における4因子含有プロトロンビン複合体製剤の使用は輸血量を削減できるか?
Q46 複雑心臓手術におけるリコンビナント活性型第VII因子製剤の使用は患者の予後を改善するか?

8.HES製剤(岩井健一)
Q47 第三世代HES製剤の投与は急性腎傷害を増加させるか?
Q48 第三世代HES製剤の投与は出血量や凝固系パラメータに影響を与えるか?

9.麻酔管理
1 CABG(清水 淳)
Q49 大動脈内バルーンパンピング(IABP)は重症症例の冠動脈バイパス手術(CABG)術前に予防的に挿入すべきか?
Q50 Off-pump冠動脈バイパス手術(CABG)のon-pumpへの術中変更(conversion)はどの程度の危険性を伴うのか,また予測因子は何か?
Q51 冠動脈バイパス術(CABG)手術には吸入麻酔薬と静脈麻酔薬のどちらが適しているのか?
2 TAVR(大塚祐史)
Q52 頸動脈アプローチによるTAVRの麻酔:意識下鎮静法による局所麻酔か全身麻酔か?
Q53 TAVR周術期の脳塞栓症予防:脳塞栓予防デバイスは安全で有効か?
3 MICS(能見俊浩)
Q54 右小開胸下僧帽弁手術に経皮的上大静脈脱血管挿入は必要か?
Q55 右小開胸低侵襲心臓手術後片側性肺水腫の要因は?
4 VAD(佐島威行)
Q56 LVAD植込みで右心不全は予期できるのか?
Q57 後天性vWF症候群の原因と対策は?
5 成人先天性心疾患(黒川 智)
Q58 先天性心疾患患者における非心臓手術は周術期死亡・合併症のリスクが高いのか?
Q59 成人先天性心疾患に対する心臓手術における死亡率は高いか? また,適切なそのリスク評価法はあるか?
Q60 成人先天性心疾患患者ではどの程度の生命予後が期待できるのか?
6 移植(大西佳彦)
Q61 左室補助装置装着患者の管理を循環専門医以外でもするべきか?
Q62 臓器移植を受けた症例の出産麻酔管理は一般病院でも可能か?
Q63 フォンタン術後の心臓移植の成績は悪いか?
7 人工心肺中の管理一般(安田篤史)
Q64 人工心肺中の体温はどう管理すべきか?
Q65 人工心肺中の換気は術後の肺酸素加能を改善するか?
Q66 人工心肺中の酸素運搬量を目標値以上に保つことで急性腎障害が減らせるか?

10.臓器保護
1 心筋保護(森 芳映)
Q67 新しい心筋保護液:Del Nido液は成人心臓手術で有効か?
2 中枢保護(田所貴弘・垣花 学)
Q68 開心術後のせん妄は将来の認知症と関連するか?
Q69 開心術中の高用量ステロイド投与は術後質的回復の改善やPOD予防に寄与するか?
3 腎保護(森 庸介)
Q70 遠隔虚血プレコンディショニングは腎保護に寄与するか?
Q71 デクスメデトミジンは急性腎障害発症を予防するか?
Q72 カルペリチド(ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド)に腎保護作用があるか?

そもそも文献は,日常から自分で読んで自己責任で解釈しておくものであり,それを他人に任せるということは,他人の解釈による曲解の可能性もあり,かえって有害になるのではと私は懸念していた。しかし,心臓麻酔関連の文献レビューである本書は,私の心配をよそに,非常に興味深いものになった。担当していただいた先生方の文献の選択眼もさることながら,それに対するコメントを読むだけでも楽しい。コメントを批判的に読むのもよし,心臓麻酔の知識のアップデートのみならず,心臓麻酔専門医の資格試験などの準備にも役立ていただければと思う。
本書の構成としては,心臓麻酔関連の主な雑誌に取り上げられている分野をピックアップすることから始めて,その後に,その分野のエキスパートや興味をもっておられる先生に依頼をして臨床上の疑問に答える形で,2,3編の論文を紹介してもらう形式をとった。
なるべく鮮度のよい文献を紹介できるよう,過去5年程度の文献から,今後臨床のプラクティスを変えることになるような,インパクトのある論文を中心に選んでいただき,独自のコメントを付けてもらった。テーマによっては,新たな知見があまり得られてないような分野もあり,そのような分野を担当してもらった先生方には,ずいぶんとご苦労をおかけしたかと思う。
なかには複数の項目で,重複して取り上げられた文献もあったが,敢えて重複は削らずにそのままにした。解説を比較してもらい,担当者によって注目しているところや解釈が微妙に異なることに,逆に,読者に興味をもってもらえれば幸いである。
最後に,多忙な臨床業務のなか,快く執筆を引き受けていただき,期限通りにご寄稿いただいた各先生方,そして,熱意を持ってこの本の企画,編集業務を担当された克誠堂出版株式会社の手塚雅子氏には心より感謝をさせていただきたい。

2018年4月吉日
自治医科大学附属さいたま医療センター
石黒芳紀