《表》Ⅶ章 診断精度のメタアナリシス168個別のRCT研究の評価にCochrane Risk of Bias Toolを用いたように、個別の診断精度研究についても評価シートがあります。Quality Assessment tool for Diagnostic Accu-racy Studies(QUADAS)を改定したRevised Tool for the Quality Assessment of Diagnostic Accuracy Studies 2(QUADAS-2)が診断精度研究の評価に用いられることが多いため、こちらを説明します。QUADAS-2は7項目あり、バイアスリスク(risk of bias)が4つと適用可能性の懸念(applicability concerns)が3つです1)2)《表》。7項目全般に関する一般的な説明は参考文献をご参照ください。本節では、若干分かりにくい点につき説明を加えます。インデックス検査とは、当該研究で評価したい検査であり、参照基準とは従来からスタンダードとされている検査(gold standard、reference standard)のことです。従来のスタンダード検査が100%正しい保証はないのですが、そこは気にしないことになっています。患者選択のバイアスリスクにおいて、“症例対照デザインではないか”というシグナリングクエスチョンがあります。症例対照デザインの対義語はコホート研究です。疫学分野では、コホートとは時間の概念を持ってフォローされる一群の被検者を指しますが、診断精度研究では、one-gate designの研究をコホート研究、two-gate designの研究をケース対照研究と呼びます。時の概念のない診断精度の研究で、コホート研究という用語を使うと混乱を招くおそれがあるので、本書では習慣に従いone-gate、two-gateの語を使わせていただきます。肺塞栓の患者でD-dimerの採血データで肺塞栓を予測できるか、という問題があります《図1》。参照基準は造影CTにおける肺塞栓の有無です。この例でD-dimerを測定された100患者選択患者選択は、バイアスを生じた可能性があるか。バイアスリスク組み入れられた患者は、レビュークエスチョンに合致していない懸念があるか。適用可能性インデックス検査インデックス検査の実施または解釈は、バイアスを生じる可能性があるか。インデックス検査の実施や解釈は、レビュークエスチョンと異なる懸念があるか。参照基準参照基準の実施や解釈は、バイアスを生じる可能性があるか。参照基準により定義された診断標的はレビュークエスチョンに合致しない懸念があるか。フローとタイミング患者のフローは、バイアスを生じた可能性があるか。診断精度研究の評価03
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