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《表3》みかん11110393130135さて今度は客4が登場し、4人になりました《表3》。方程式を使ってもこの問題を解くことができず、解なしとなります。解のない連立一次方程式を無理やり解くのが重回帰分析です。このデータを統計ソフトに入れると、リンゴ約100円、みかん約50円、ビニール袋約10円となります。“約”の部分は95%信頼区間で表示されます。リンゴとみかんを説明変数〔explanatory variable、独立変数(independent variable)〕、金額を目的変数〔ob-jective variable、従属変数(dependent variable)〕と呼びます。ビニール袋のように、全員に一定の上乗せをしている項目を定数項(constant、constant term)と呼びます。説明変数のうち、もっとも興味を持っているもの以外を共変量(covariate)といいます。今回はリンゴの値段が問題になっているので、みかんが共変量です。買物客の人数をサンプル数(sample size)といいます。リンゴ、みかんのそれぞれの値段を偏回帰係数(partial regression coefficient)といいます。単変量解析の結果を非調整(unadjusted、not adjusted)、多変量解析の結果を調整済み(adjusted)といいます。観察研究のメタアナリシスで解析対象とするのは原則として調整済み偏回帰係数です。今回の解析結果では、リンゴ1個100円でみかん1個50円でしたが、リンゴは単品100円で販売、みかんは3つセットが150円で販売されていました。さて、リンゴとみかんのどちらが金額に与える影響が大きいのでしょうか? みかん1個50円と考えるか、みかん3つセットで150円と考えるかで結論が変わります。リンゴとみかんの単位を統一しなければ、この比較に結論がでません。日本のC反応性タンパク(CRP)の単位はmg/dLですが、アメリカではmg/Lを用いるためCRPの値が10倍になります。そのため、CRPを説明変数とした場合、アメリカで計算された偏回帰係数は1/10になってしまいます。このような問題を回避するため、標準偏差を基準として単位を共通化して、説明変数の影響の強さを比較可能にした数値が標準偏回帰係数(standardized partial regression coefficient)です。標準偏回帰係数は医学論文での使用頻度が高くないので詳細は省きますが、偏回帰係数を単純に比較して説明変数の影響の大小を論じることに意味がないことは認識してください。多変量解析を行うとき、どの変数を共変量に含めるかは悩ましい問題です。自分の仮説に合う説明変数に有意差をつけるために、共変量を入れたり消したりする研究者を大勢見てきまし客1客2客3客4リンゴビニール袋合計金額110460460240

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