《図1》 固定効果モデル(fixed-effect model)《図2》 変量効果モデル(random-effect model)21どちらのモデルを選んでも、何も変わりません。一方、研究間の異質性が強いときには、唯一の確定的な効果量が考えにくく、有意差のつきにくい保守的な立場をとるべきで、変量効果モデルを使うことになります。のちに、アウトカムレベルのエビデンスの確実性の議論において、非一貫性(異質性)が高いときにダウングレードすべきであるという話が出ます4)が、複数の研究の結果が大きく異なる場合は、その平均値の信用性が低くなるのです。10人にA君の評判を聞いたら全員の答えが“平凡(50点)”でした。10人にB君の評判を聞いたら5人が“素晴らしい(100点)”、5人が“最低(0点)”と答えました。A君とB君の平均点は同じ50点ですが、受ける印象はかなり異なります。A君は本当に平凡なのでしょうが、B君に対する判断は保留したくなります。上司に愛想がよく部下に冷たいのかもしれません。どの程度異質性が強いときに固定効果モデルが使えないのか、という点に明確な統一見解はありません。安直だという批判もありますが、I2<50%で固定効果モデル、I2>50%で変量効果モデルと使い分ける論文を多数見かけます。モデルの選択は、95%信頼区間の広くなりやすい解析と、狭くなりやすい解析のどちらがよいか、統計的有意差がつきやすい解析と、つきにくい解析のどちらがよいのか、という問題に置き換えることもできますが、本来は存在しない新治療の恩恵を過大評価するαエラー(al-pha error)と、新治療の効果を見逃してしまうβエラー(beta error)のどちらが許容されるべきか、とも言えます。臨床試験の考え方として、新治療の効果を見落としてしまうβエ
元のページ ../index.html#2