カンファでおさえる小児麻酔(サンプル)
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(辻 志穂,古田繁行,佐藤英章ほか.初期治療としての輸液療法.小児外科 2014;46:1023—26より改変引用)表1―脱水の程度臨床症状,所見軽症5%体重減少正常脈拍収縮期血圧正常減弱尿量やや乾燥頬粘膜大泉門正常眼窩正常皮膚ツルゴール正常皮膚正常具体的には何に注目して身体所見をとりますか?はい,この場合は脱水に注目して身体所見をとります。大泉門の張り,眼窩の窪み,末梢毛細血管の再充満時間(capillary refilling time)や皮膚の張り(ツルゴール)などを見て脱水があるかどうかを判断します。そうですね。PSではまず脱水の程度(表1)を評価して,補正をすることが大事です。体重についても新生児では1日50 g程度増加するので,本来なら1,000 g増えて3,850 gくらいになっているはずです。A先生,先程採血をすると言いましたが,PSに特長的なデータはありますか?はい,嘔吐によって胃液が体外に出されるのでHClが減少し低クロール性アルカローシスになります。低栄養の場合は血糖も低いです。そうですね。脱水と低クロール性アルカローシスの補正,電解質の補正,栄養補給が重要になります。脱水になるとアルドステロンの分泌が増えて,遠位尿細管でKを排泄してNaを再吸収しようとするので低K血症になります。補液は例えば利尿がつくまでは5%グルコース+生食を20 mL/kg/hで投与し,利尿がついてからはKCl 20 mEq/Lになるように加えて投与します(表2)1)。尿中のクロールの値は脱水の補正の指標として有用です。参考文献があるので詳しくはそちらを読んでください2)。B先生,アルカローシスの補正をしないで麻酔をかけるとどのような問題が生じますか?中等症10%頻脈正常,低下著明に減少乾燥陥凹陥凹低下冷感重症15%頻脈,減弱ショック無尿著明に乾燥著明に陥凹著明に陥凹著明に低下冷感,斑紋状色調,四肢チアノーゼ指導医指導医指導医B先生A先生8

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