退行性の眼瞼下垂の場合,手術に際して確認すべきポイントを教えてください。フロアご高齢であるため,高血圧や糖尿病などの合併症を有する確率が高く,さまざまな薬剤を内服していることも珍しくありません。特に抗凝固薬や抗血小板薬の内服については十分に確認しています。基本的には休薬しませんが,それらを複数内服している場合は,処方医に相談することがあります。演 者高齢者が対象となりますが,先生が心がけていることを教えてください。フロア同じ姿勢を続けることは誰にとっても辛いことですが,腰が曲がっていたり,肩や首が痛い方もいます。また,特に男性ではトイレが近い方もいますので,手術時間を早くすることが重要です。この点で,出血を抑えながら手術ができるCO2レーザーは大きな武器と考えます。演 者退行性の眼瞼下垂の場合,手術操作で注意する点があれば教えてください。座 長ミュラー筋を出すまでの操作を慎重に行うことにつきます。変性や菲薄化など症例ごとにバリエーションが多いですが,組織は順番どおりにしか出てきませんので,落ち着いて手術することです。常に瞼板上縁をメルクマールにすれば,ミュラー筋を見失うことはないと思います。演 者34質疑応答のとおり,加齢により生じる眼瞼下垂の原因は,主に挙筋腱膜の伸展ですが,その程度は症例ごとに大きく異なります。組織が菲薄化していたり脂肪変性が強かったりとさまざまな症例を経験しますが,それらの程度は手術を始めてみないとわからないことが多く,私は各種の眼瞼下垂の中で加齢性の手術が最も難しいと思っています。一方で,整容的な要求度は一般的に高くありませんが,不自然さが生じれば,ご高齢といえども患者さんの生活の質(QOL)は低下します。よって,年齢相応の外観を再建することが重要となります。強く食い込ませた重瞼や極度に立ち上がった睫毛,大きすぎる瞼裂高,皮膚弛緩がまったくないような眼瞼,これらは不自然さを出す要因となりますので,年齢ごとに多少の工夫が必要と考えます。■ 座長の〆の一言! ■質疑応答
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