図2 金属メスとCO2レーザーの切開の比較金属メスによる切開では出血するが(上),CO2レーザーではほとんど出血しない(下)。図3 焦射面積とハンドピースを動かす速さの違いによる切開創の比較42.実際の使い方金属メスとCO₂レーザーの切開の違いは一目瞭然である(図2)。切開はfocused beamで行う。最近のCO₂レーザーは焦点が0.1mmまで絞れるようになっている。focused beamを保ちながら皮膚に緊張をかけ,適切な速さでハンドピースを動かせば金属メスに近い切開ができるが,正しく操作しないと焦げて幅の広い切開創になる(図3,動画1)。止血の際は,defocused beamで使用する(図4,動画2)が,静脈性出血と動脈性出血の止血方法には違いがある。静脈性出血では,乾いたガーゼで術野を拭いた後にガイド棒を術野から約1cm離すdefocused beamで行う(動画3)。一方で動脈性出血では,拍動性に出血する出血点を鑷子でピンポイントに把持し,止血されたことを確認した後に照射する(動画4)。出血点がわからない時は,22G針を付けた注射器で生理食塩水をかけると確認できることが多い。CO₂レーザーを使用するとハンドピースを前後するだけで切開と止血が可能となり,メスとバイポーラを持ち替える煩雑さがなくなる。このように,CO₂レーザーは使い方によって金属メスになったり電気メスになったりする。同じレーザーでも照射法によってまったく違う結果になることを理解することが重要である(図5)。
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