体験する手外科
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48「不安定」適切な麻酔下・透視下でも整復できず不安定な症例は,整復のために骨折部を展開する必要がある(不十分な麻酔下での整復操作は論外)。つまり開けるか否かは,整復できるか否かにかかっている。内固定が必要なのだが,K鋼線,プレート,スクリュー,ワイヤーなどさまざまな固定器具があり,その使用に迷うことはないだろうか?骨折治療=機能+整容の続きで,「不安定」型の解説である(Case02「解説」参照)。その使用の目安は,できるだけ骨膜剥離が少なく固定安定性の高いものに尽きる。そのほかに,靭帯付着部や腱停止部に絡む骨折にはアンカーやワイヤーが役立つことを覚えておけば,それでほとんど対応が可能である。17歳,女性,体操選手(国体レベル),左中・環指中節骨剥離骨折(転位あり「不安定」)【症例1】Case02の症例2(37頁)に比べ骨片が大きく,関節動揺性が強い。ORIFにより骨接合を行った。側正中切開で骨折部を展開し,反転した骨片を整復し,環指はPDSにて縫合固定。中指は中節骨に3mmのソフトワイヤーにて締結した(骨片はわれやすいので,ワイヤーは骨片を捉えない)。術後1週間の外固定後,関節可動域訓練を行った。術後4週でワイヤーは入れたまま競技に復帰した(競技中はテーピング固定)。ワイヤーは術後4カ月で抜去した。PIP関節の動揺性はなく,関節可動域も正常である。解 説

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