集中治療のエッセンス
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救急医療チーム(medicalemergencyteams:METs)3はない。英国のNCEPODは2018年に「病院内のすべての専門分野に共通するテーマと推奨事項」を発表した7)。そこでは次のように書かれている。患者の不調の認識不足は長年にわたって指摘されており、急性疾患の入院患者ケアは医療サービスにとって継続的問題となっている。その多くは、患者の気道、呼吸、循環、酸素療法、体液バランス、モニタリングなど、急性期医療の基本的な管理が不十分であることに関連している。多くのNCEPODの報告書で強調されている他の要因としては、知識の欠如、臨床的緊急性の認識不足、指導者の不在、助けを求めていない、対応の遅れ、コミュニケーション不足、のような組織的な失敗がある。簡単な生理学的観察により、高リスクの入院患者を特定できることが多くの研究で示されていて8)9)、バイタルサインに重大な異常があった場合には、助けを呼ぶことを若いスタッフに義務付けるシステムを導入することで、患者の転帰と集中治療資源の活用を改善することができる10)11)。すなわち、蘇生とはCPRだけではなく、可逆的な生理学的悪化を来している患者を認識し、効果的に治療することでもある。これは、トレーニング、組織、リソースの面で、集中治療領域以外ではしばしば軽視されている医療分野である。METsはオーストラリアで開発され、高度な蘇生技術の訓練を受けた医師と看護師で構成されている。METsは、緊急対応となる心肺停止を待つのではなく、重度の異常なバイタルサインによって緊急コールを行うというものである。Box1.1は初期のMETコール基準である。英国では、主治医チームまたはICUの対応担当チームに対し、早急な対応を依頼するための早期警告システムが開発されている(表1.1参照)。救急医療チーム(medical emergency teams:METs)

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