Anesth_Calendar_3
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■ ロボット支援下手術の麻酔論文③新山 幸俊ロボット支援下手術における極端な頭低位と気腹という非生理的環境下は,循環系にも大きな影響を与えることが知られているが,体位や気腹圧によって見解に矛盾がある.著者らは,45°の超頭低位,20 mmHgの高い気腹圧で施行されたロボット支援下手術中における循環系の各パラメータの変化について検証した.ロボット支援下前立腺摘出術を施行した成人男性患者31名を対象とした.術中は45°の頭低位とし,20 mmHgの気腹圧で気腹した.麻酔は気管挿管下の全身麻酔で平均血圧が60 mmHg以上になるように管理した.前負荷の指標として中心静脈圧(central venous pressure : CVP),心腔内容量の指標として胸腔内血液量指数(intrathoracic blood volume index : ITBVI),全身性容量の指標として脈圧変動(pulse pressure variation : PPV)および1回拍出量変動(stroke vol-ume variation : SVV),後負荷の指標として全身血管抵抗係数(systemic vascular resistance index : SVRI),心収縮能の指標として熱希釈法を用いた心係数(cardiac index : CI)および左心収縮能を反映するmaximum velocity of the pressure in-crease(dpmx)を測定した.測定するタイミングは,全身麻酔導入後(ベースライン),気腹開始後,気腹下に45°の頭低位を取った直後および15分後,そして気腹を終了し,水平位に戻した5分後とした.呼吸条件はFIO2 0.4,呼気終末陽圧(PEEP)5 cmH2Oとし,EtCO2を正常範囲に保った.心拍数と平均血圧は気腹により,すべての患者で有意に増加したが,頭低位では有意な変化は生じなかった.気腹および頭低位終了後,速やかにベースライン時の値まで回復した.[1]前負荷 CVPは305%上昇し,気腹および頭低位終了後,速やかにベースライン102 ■背景 ■方法 ■結果Cardiac and hemodynamic consequences during capnoperitoneum and steep Trendelenburg positioning : Lessons learned from robot-assisted laparoscopic Rosendal C, et al. J Clin Anesth 2014 ; 26 : 383─9.prostatectomy.ロボット支援下手術における極端な頭低位と気腹により,循環動態はどのように変動するのか?

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