肩こりの臨床
関連各科からのアプローチ

肩こりの臨床

編集 森本昌宏
ISBN 978-4-7719-0408-8
発行年 2013年
判型 B5
ページ数 264ページ
本体価格 7,600円(税抜き)
電子版 なし


整形外科、神経内科、ペインクリニックにとどまらず、関連する多くの科で行われているアプローチを紹介。

単一の視点ではなく、俯瞰図を見るように肩こりを取り上げました!

肩こりを単に症状として扱うのではなく、基礎疾患の検索を含めて正確な診断を行うこと、より適切な治療法を選択することの必要性を考えた、肩こりの診療の今をまとめ、これからを考える第一歩となる一冊。

I 肩こりに関する一般的事項(森本昌宏)
1)肩こりとは
2)肩こりの疫学
3)肩こりの分類
4)肩こりの発生機序として考えられている事項

II 肩こりに関する解剖
1.頸椎の構成要素の解剖(田中信弘、泉 文一郎)
1)脊髄、神経根
2)椎骨
3)椎間関節
4)椎間板
5)筋肉
6)肩甲上神経障害
7)腋窩神経障害の発生機序

2.肩関節の解剖(玉井和哉)
1)骨格
2)関節
3)関節の動き
4)筋
5)神経

3.肩こりに関する筋群と僧帽筋血管支配の特徴(中村宅雄)
1)肩こりに関する筋群
2)僧帽筋血管支配の特徴

III 病因と病態
1.頸椎の構成要素の異常(山上裕章)
1)頸椎症(頸部脊椎症)
2)不安定頸椎症
3)頸椎症性神経根症
4)頸椎椎間板症・椎間板ヘルニア
5)頸椎症性脊髄症(頸髄症)
6)頸椎椎間関節症
7)頸椎後縦靱帯骨化症
8)外傷性頸部症候群
9)軸性疼痛(頸椎手術後)
10)その他

2.肩関節の構成要素の異常(菅本一臣)
1)肩こり症状と肩関節痛の識別診断
2)肩こり症状を来す肩由来の疾患

3.神経内科疾患による肩こり(目崎高広)
1)総論
2)肩こりを来す神経疾患
3)神経内科における肩こりの診断

4.頭痛と関連する肩こり(竹島多賀夫、菊井祥二)
1)片頭痛
2)緊張型頭痛
3)群発頭痛
4)薬物乱用頭痛、慢性片頭痛
5)片頭痛と緊張型頭痛の関係
6)二次性頭痛に伴う肩こり

5.循環器疾患による肩こり(淺井貴絵、高橋敦彦、久代登志男)
1)循環器疾患の診察と診断
2)高血圧
3)低血圧
4)虚血性心疾患
5)胸部大動脈瘤
6)急性心膜炎
7)血管炎症候群(高安動脈炎)
8)肺塞栓症

6.内臓体壁反射としての肩こり(鎌本洋通)
1)内臓体壁反射
2)関連痛のメカニズム
3)消化器疾患と肩こり
4)呼吸器関連疾患と肩こり
5)狭心症と肩こり

7.眼科疾患による肩こり(梶田雅義)
1)慢性の肩こりと視力
2)屈折異常
3)眼の調節
4)毛様体筋と調節微動
5)Fk-mapでみる調節機能
6)眼からくる肩こり
7)屈折・調節異常以外の眼疾患による肩こり

8.顎関節症と肩こり(木野孔司)
1)顎関節症とは
2)顎関節症患者に見られる肩こりやその他の症状
3)歯列接触癖(TCH)が原因となる肩こり

9.婦人科疾患による肩こり─更年期不定愁訴症候群─(後山尚久)
1)更年期不定愁訴症候群にみられる肩こり
2)更年期女性の肩こりの診断
3)更年期女性の肩こりの治療
4)更年期不定愁訴症例

10.ストレスによる肩こり(清水幸登、仁科舞子)
1)肩こりを引き起こすストレス
2)なぜストレスが肩こりを引き起こすのか
3)肩こりそのものがストレスや個体に及ぼす影響
4)「ストレス」―「肩こり」の病態モデルからみた対応の基本

11.線維筋痛症(三木健司、行岡正雄)
1)病態
2)診断
3)治療
4)診断書など書類の発行について

12.その他の疾患による肩こり(打田智久)
1)胸郭出口症候群(TOS)
2)パンコースト腫瘍
3)関節リウマチ(RA)
4)リウマチ性多発筋痛症(PMR)
5)多発筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)

13.不良姿勢、作業に起因する肩こり(萱岡道泰)
1)VDT作業の種類と作業区分
2)作業管理
3)作業環境管理
4)健康管理

IV 評価法(岩元辰篤)
1)筋硬度計
2)サーモグラフィ
3)筋血流量計
4)その他

V 診断法
1.病歴聴取と理学所見(柴 麻由佳)
1)問診
2)視診
3)触診
4)可動域試験、徒手筋力テスト、神経学的検査
5)運動診
6)診断のためのフローチャート

2.画像診断(柏木伸夫、村上卓道)
1)序説
2)肩関節遠位部上肢疾患
3)肩関節および近傍軟部組織
4)腕神経叢部
5)頸椎部

3.電気生理学検査(米本紀子)
1)諸家の電気生理学検査に関する報告

VI 治療法
1.ペインクリニックからのアプローチ
A 薬物療法(佐伯 茂)
1)非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
2)アセトアミノフェン
3)中枢性筋弛緩薬
4)抗不安薬
5)抗うつ薬
B 神経ブロック療法(橋爪圭司)
1)主として体性神経ブロック
2)主として交換神経ブロック
3)両方の効果を期待するブロック
C トリガーポイント注射(上原圭司)
1)トリガーポイントに関する一般的事項
2)トリガーポイント注射の実際と奏功機序
3)肩こりのトリガーポイント
4)肩こりに関連する疾患とトリガーポイント
D ボツリヌス毒素注入療法(森田善仁、井関雅子)
1)痙性斜頸と肩こりの関係
2)ボツリヌス療法の鎮痛機序
3)痙性斜頸の疼痛に対するボツリヌス療法の有効性
4)痙性斜頸ではない原因による疼痛に対するボツリヌス療法の有効性
5)ボツリヌス療法の実際
E 光線療法(田中萌生、細川豊史)
1)低反応レベルレーザー
2)直線偏光近赤外線
3)キセノン光
4)肩こりに対する光線療法のこつ
F 刺激鎮痛法と圧粒子療法(白井 達)
1)シルバースパイクポイント(SSP)療法
2)経皮的電気神経刺激療法(TENS)
3)経皮的経穴電気刺激療法(TEAS)
4)圧粒子療法

2.整形外科・脳神経外科からのアプローチ
A 手術療法(佐々木 学)
1)頸椎神経根症による頸肩部痛の診断
2)頸髄症
B リハビリテーション
1.物理療法(竹井 仁)
1)物理療法
2)徒手療法と運動療法
3)日常生活指導
2.運動療法(篠崎哲也、高岸憲二)
1)肩こりの運動療法
3.神経内科からのアプローチ(平田幸一、渡邉由佳)
1)治療
2)薬物治療
3)非薬物療法

4.心身医学的アプローチ(岩城理恵、細井昌子)
1)肩こりを抱える人と肩こりの患者の違い:counterdependencyとcatastrophizing
2)痛みと情動
3)慢性痛としての肩こりに対する心身医学的アプローチ
4)薬物療法
5)非薬物療法

5.東洋医学からのアプローチ
A 漢方薬(世良田和幸)
1)肩こりの原因
2)肩こりの漢方治療
B 鍼灸治療(楳田高士)
1)肩こりに対する鍼灸治療
2)肩こりに対する鍼灸治療のエビデンスと治効メカニズムについて

VII 関連事項
1.肩こりと枕(青木秀之、関口昌之、勝呂 徹)
1)枕の役割とは何か
2)睡眠の意義
3)睡眠時姿勢の重要性
4)誰でもできる枕の合わせ方
5)頸部の症状への枕効果