周術期循環管理

周術期循環管理

編集 澄川耕二
ISBN 978-4-7719-0378-4
発行年 2011年
判型 B5
ページ数 458ページ
本体価格 11,000円(税抜き)
電子版 なし


心血管系の基礎から最新の臨床技術まで、エキスパートの手により循環管理の体系を網羅。
応用力と開発力を備えた循環管理の実力を養うために必携の1冊です!

周術期循環管理の目的は、厳しい侵襲に曝された生体の循環機能を制御し、重要臓器、そして生命を守ることにある。循環機能の破綻はただちに生命の危機を招くため、生じた異常を速やかに是正し、破綻を未然に防ぐことが重要である。この目的を果たすため、周術期循環管理は、心血管合併症の術前評価、術中・術後の循環動態の連続的把握、そして機能異常に対する処置、の3つが的確に行われなくてはならない。 (序文より)

I.心血管系の構造(土田英昭)
はじめに
心臓の構造
1 右心系と左心系/2 刺激伝導系/3 冠動脈の分布
血管系の構造
1 大動脈から分枝する動脈/2 体血管床と容量/3 血管壁の構造

II.心血管系の機能
1.心臓の機能(趙 成三、澄川耕二)
はじめに
心周期
1 心室収縮/2 心室弛緩/3 心室充満
心室収縮機能
1 収縮性(contractility)/2 前負荷/3 後負荷/4 心拍数
心室拡張機能
1 左室弛緩/2 左心コンプライアンス/
3 心エコー(パルスドプラー法、組織ドプラー法)による左室拡張機能評価
心仕事量と酸素消費量
1 圧容積面積(pressure volume area:PVA)/2 心筋酸素消費量
心筋の収縮と弛緩の細胞生理学
1 心筋細胞活動電位/2 心筋細胞レベルでの収縮と弛緩/
3 β受容体刺激が心筋収縮・弛緩に与える影響

2.血管の機能(木下浩之)
はじめに
動脈の機能
1 弾性動脈(elastic arteries)/2 導管動脈(conduit arteries)/
3 抵抗血管(resistance vessels)
毛細血管〔交換血管(exchange vessels)〕の機能
静脈〔容量血管(capacitance vessels)〕の機能
血管内皮
血管平滑筋
1 平滑筋収縮機構/2 平滑筋拡張機構

3.心血管系調節機構(木下浩之)
はじめに
神経性調節
1 循環中枢/2 自律神経
ホルモン性調節
1 レニンアンギオテンシン系/2 ナトリウム利尿ペプチド(ANPおよびBNP)
局所性調節
1 エンドセリン/2 一酸化窒素/3 プロスタノイド
心臓性反射
1 動脈圧受容体反射(arterial baroreceptors)/
2 ベインブリッジ反射(Bainbridge reflex)/
3 眼球心臓反射(oculocardiac reflex)/
4 バルサルバ試験(Valsalva test)

III.臓器循環の構造、機能、病態
1.脳循環(西川俊昭)
はじめに
脳循環の構造
1 脳の血液供給/2 脳の静脈還流/3 くも膜と軟膜/4 脳脊髄液
脳循環の機能
1 脳血流量と頭蓋内圧/2 脳血流量の調節/3 脳代謝と脳血流の連関/
4 頭蓋内圧・量曲線/5 脳脊髄液の機能
脳循環の病態と制御
1 くも膜下出血(脳動脈瘤破裂)/2 頭蓋内圧亢進/
3 急激な頭蓋内圧低下に伴う循環虚脱/4 脳虚血・脳梗塞/
5 頸動脈狭窄症/6 もやもや病/
7 プレコンディショニング・ポストコンディショニング

2.冠循環(神山有史)
はじめに
構造
1 走行および灌流域/2 組織および細胞内構成/
3 ミクロドメイン:細胞膜上の小窩─カベオラ、ラフト─
冠循環の調節
1 冠血流を規定するもの/2 血流調節への内膜の関与/
3 冠血流への代謝の影響/4 冠血管の神経性支配/
5 プレコンディショニング(preconditioning : PC)
冠循環の病態
1 高血圧症、冠動脈硬化症/2 リモデリング/3 急性冠症候群/
4 高脂血症/5 肥満、メタボリック症候群/6 糖尿病/7 喫煙
冠循環の病態の制御
1 運動/2 麻酔薬によるプレコンディショニング/
3 心拍数の管理および冠収縮の防止/4 スタチン/5 血糖降下薬/
6 経皮的血行再建術
(percutaneous coronary intervention : PCI)、冠動脈バイパス(coronary artery bypass graft : CABG)/
7 手術前予防的PCI/8 血小板凝集抑制

3.肺循環(西脇公俊)
はじめに
肺循環の構造と機能
1 解剖/2 肺血管のメカニクス/
3 血液ガス関門(blood gas barrier : BGB)の解剖/4 微細循環での体液交換
肺血流
1 肺血管抵抗
気管支循環
1 気管支循環の解剖/2 気管支循環の制御
肺血管緊張の神経性調節
低酸素血症
1 低酸素性肺血管収縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction : HPV)
肺循環の病態
1 毛細血管のストレスフェイリュア/2 神経原性肺水腫/3 肺高血圧症

4.肝循環(松本延幸)
はじめに
肝循環(内臓循環)
1 構造/2 調節機構と調節因子/3 病態とその制御
肝類洞内微小循環
1 構造/2 調節機構と調節因子─I/R傷害の視点から─/
3 病態とその制御

5.腎循環(諸岡浩明、坂井正裕、澄川耕二)
はじめに
腎循環の構造
腎循環の機能
1 腎血流/2 尿の生成/3 水・電解質の代謝/4 内分泌機能/
5 腎機能と血管作動性物質
腎循環の病態と制御
1 GFRの低下/2 腎灌流圧低下/3 腎不全に伴う高カリウム血症/
4 腎不全に伴う高血圧/5 虚血再灌流性腎障害/
6 腎循環保護のための薬物療法

IV.循環モニタリング
1.心電図(重見研司)
はじめに
心拍数のモニター
不整脈のモニター
心筋虚血のモニター
1 3極誘導法/2 修正3極誘導法/3 5極誘導法
電解質異常のモニター
心電計モニターの特性
正常波形とT波の考察
まとめ

2.動脈圧モニタリング(重見研司)
はじめに
血圧の基準となるゼロ点
観血的動脈圧の測定方法
測定部位による値や波形の違い
一般化圧伝達関数(generalized transfer function:GTF)
各種動脈圧測定方法の注意点
1 マンシェットによる測定/2 観血的動脈圧測定/
3 トノメトリ法/4 その他の測定方法
波形の解析
1 4要素2次応答モデル/2 左心室大動脈結合状態/3 心拍出量の推定

3.中心静脈圧モニタリング(重見研司)
はじめに
外頸静脈とCVP
中心静脈カニュレーションの合併症
CVPのゼロ点と胸腔内圧の影響
CVPの有用性
1 心機能と前負荷のバランスを示すCVP/
2 フランク・スターリングの心機能曲線とCVP/3 MCFPとCVP/
4 静脈還流抵抗とCVP/5 容量血管の容量特性(capacitance)とCVP/
6 血液量の指標としてのCVP
末梢循環系の整流作用とCVP

4.肺動脈カテーテルモニタリング(今井洋介、大西佳彦)
はじめに
機能
1 圧モニタリング/2 混合静脈血酸素飽和度連続測定/3 心拍出量測定/
4 心膜内ペーシング、心内心電図記録
挿入
合併症
1 穿刺時合併症/2 留置合併症/3 データの誤解釈
圧モニタリング
1 異常な肺動脈圧波形・肺動脈楔入圧波形/2 左室前負荷の推定
おわりに

5.連続混合静脈血オキシメトリ(大西佳彦)
はじめに
連続静脈血オキシメトリモニタリングについて
SvO2の測定原理について
SvO2の有用性について
SvO2モニタリングの問題点について
ScvO2との比較について
SvO2の今後の改善点

6.心拍出量モニタリング(瀬尾勝弘)
心拍出量の生理学的基礎
心拍出量モニタリングの意義
心拍出量モニタリングの種類
肺動脈カテーテル(スワン・ガンツカテーテル)の功罪
低侵襲心拍出量測定法(動脈圧心拍出量)
心不全の分類
1 Stevenson/Nohria分類/2 フォレスターの分類

7.血液生化学マーカー(瀬尾勝弘)
はじめに
血液生化学マーカーの種類
ACS
1 ACSにおける血液生化学マーカー
心不全
1 ナトリウム利尿ペプチド/
2 心不全の血液生化学マーカーとしてのBNPとNT-pro BNP/3 CRP
周術期予後予測における血液生化学マーカーの有用性
まとめ

V.経食道心エコー法(蓮尾 浩)
はじめに
TEEの特徴
TEEの基本断面
1 左心室/2 僧帽弁/3 大動脈弁/4 左心房、左心耳、肺静脈/
5 右心房、上大静脈、下大静脈/6 右心室/7 三尖弁/
8 肺動脈弁、肺動脈/9 大動脈
心機能評価
1 左室収縮能評価/2 左室拡張能評価/3 局所心機能評価
病態の評価
1 弁膜疾患/2 大動脈疾患/3 その他の心疾患
心臓血管手術とTEE
1 術前診断の確認/2 循環監視モニター/
3 人工心肺の導入、離脱の補助/4 手術の評価
周術期循環管理とTEE
1 非心臓手術とTEE/2 ICUや救急部でのTEE

VI.循環薬理(村田寛明、柴田伊津子、澄川耕二)
はじめに
交感神経作動薬
1 カテコラミン/2 非カテコラミン昇圧薬
ホスホジエステラーゼ(PDE)Ⅲ阻害薬
交感神経遮断薬
1 α受容体遮断薬/2 β受容体遮断薬/3 交感神経節遮断薬
副交感神経遮断薬
血管拡張薬
1 硝酸薬/2 ニカルジピン(ペルジピン(R))/3 ニコランジル(シグマート(R))
Ca拮抗薬
1 ニフェジピン(アダラート(R))/2 ニカルジピン(ペルジピン(R))/
3 ジルチアゼム(ヘルベッサー(R))/4 ベラパミル(ワソラン(R))
ジギタリス(ジゴシン(R)、ジギラノゲン(R))
抗不整脈薬
1 Vaughan Williams分類
抗凝固薬
1 ヘパリン/2 低分子ヘパリン/
3 メシル酸ナファモスタット(フサン(R)、コアヒビター(R))/4 アルガトロバン
利尿薬
1 フロセミド(ラシックス(R))/2 マンニトール

VII.機械的循環補助(槇田徹次、澄川耕二)
はじめに
定義
適応基準
IABP
1 留置法/2 同期/3 動作原理/4 適応/5 合併症/6 禁忌/7 離脱
PCPS
1 定義/2 作動原理/3 適応/4 抗凝固療法/5 離脱/6 限界/
7 合併症/8 ECLA
VAS
1 定義/2 適応/3 装着/4 合併症/5 管理

VIII.緊急ペーシング(槇田徹次、澄川耕二)
はじめに
緊急ペーシングの適応
緊急ペーシングの種類
ペーシングモードの種類
1 経皮的ペーシング(transcutaneous pacing)/
2 経静脈的ペーシング(transvenous pacing)/
3 経食道ペーシング(esophageal pacing)
そのほか周術期に可能なペーシング
1 心外膜ペーシング(epicardial pacing)

IX.循環機能の術前評価(加治淳子、神田橋 忠、外 須美夫)
はじめに
病歴聴取と身体所見
1 病歴、生活歴からの評価/2 服薬歴の把握と評価/3 身体所見
検査所見
1 心電図/2 胸部単純X線写真/3 心エコー/4 心筋シンチ/
5 ポジトロン断層撮影(positron emission tomography:PET)/
6 コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)/
7 核磁気共鳴像(magnetic resonance imaging:MRI)/
8 心臓カテーテル検査および心血管造影

X.麻酔による循環動態の変化(金 徹、坂本篤裕)
全身麻酔
1 吸入麻酔薬の心筋への影響/
2 マクロで見た吸入麻酔薬と静脈麻酔薬の影響/
3 オピオイドの影響
脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔
局所麻酔薬の心毒性

XI.周術期の循環系病態と治療
1.血圧・脈拍異常(藤井 崇、林 行雄)
はじめに
低血圧
1 麻酔薬/2 術前心合併症による心機能低下/
3 術前合併症:内分泌疾患(副腎不全、甲状腺機能低下など)/
4 出血および循環血液量減少/5 手術/6 麻酔管理中の突発的な病態/
7 周術期使用薬物、輸液、輸血、医療材料
高血圧
1 浅麻酔/2 術前合併症/3 手術操作/4 麻酔管理中の突発的な病態/
5 周術期使用薬物、輸液、輸血、医療材料
徐脈と頻脈
1 徐脈の治療/2 頻脈の治療
不整脈
1 心臓の刺激伝導系とペースメーカ/2 心臓の正常な電気活動/
3 不整脈の分類/4 徐脈性不整脈の治療/5 頻脈性不整脈の治療/
6 頻脈性不整脈の実際の治療/7 知っておきたい不整脈

2.心筋虚血、心不全(前川拓治、澄川耕二)
心筋虚血
1 はじめに/2 心筋虚血の病態生理/3 術前心筋虚血リスクの評価/
4 虚血の周術期管理
心不全
1 はじめに/2 収縮不全・拡張不全/3 神経体液性因子/
4 心筋リモデリング/5 急性心不全の病態と治療/6 局所麻酔薬の心毒性
ショック
1 はじめに/2 循環血液量減少性ショック/3 心原性ショック/4 血管原性ショック

XII.循環器疾患の非心臓手術周術期管理
1.心疾患(岩出宗代)
はじめに
冠動脈疾患
1 術前評価/2 術中管理
心不全
1 術前評価/2 術中管理/3 術後管理
不整脈
1 総論/2 上室性期外収縮/3 心室性期外収縮/4 心房細動/
5 WPW症候群/6 QT延長症候群/7 Brugada症候群
心筋症
1 拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM)/
2 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)/
3 拘束型心筋症(restrictive cardiomyopathy:RCM)/
4 たこつぼ型心筋症(takotsubo cardiomyopathy)
弁膜症
1 総論/2 各弁膜症
心膜疾患
1 心タンポナーデ/2 収縮性心膜炎
先天性心疾患
1 成人先天性心疾患の種類/2 合併症/3 麻酔管理/4 術後管理

2.血管疾患(小口健史)
高血圧症
1 はじめに/2 術前管理/3 術中管理/4 術後管理/5 褐色細胞腫
肺動脈塞栓症
1 はじめに/2 PTE/3 ガス塞栓/4 脂肪塞栓/5 羊水塞栓症/
6 腫瘍塞栓
大動脈疾患
1 はじめに/2 腹部大動脈瘤/3 胸部大動脈瘤/
4 大動脈炎症候群(高安病)/5 マルファン症候群
抗凝固療法中の症例
1 はじめに/2 抗凝固薬/3 抗血小板薬/4 周術期管理

XIII.心臓・大血管手術における循環管理(原 哲也、澄川耕二)
はじめに
人工心肺への対応
1 基礎知識/2 生体反応/3 止血凝固異常/
4 全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)/
5 循環管理/6 TEE
低体温法
1 低体温法の役割/2 生体への影響/3 血液ガスの変化/
4 体温管理の実際
心筋保護の技法
1 心筋酸素需給バランスと虚血再灌流傷害/2 心停止液/
3 プレコンディショニング