麻酔のHow to 技術編

麻酔のHow to 技術編

編集 日本医科大学教授 小川 龍
ISBN 4-7719-0234-8
発行年 2001年
判型 B5
ページ数 233ページ
本体価格 6,000円(税抜き)
電子版 なし


1 注射・穿刺編/1
筋肉内注射
上腕・殿部 医療…見塩 六生/2
診療…可児 浩行/4
静脈穿刺と針留置
前腕,手背,足関節,足背 医療…高畑  治/6
診療…白石 義人/8
中心静脈カテーテル留置
大腿静脈 医療…広田 弘毅/10
診療…野村ゆう子/14
頸部静脈 医療…比嘉 正祐/16
診療…浅井  淳/20
肺動脈カテーテル留置
カテーテル位置確認法 医療…清水  淳/22
診療…広瀬 好文/26
動脈穿刺・採血法
大腿動脈その他 医療…福田 妙子/28
診療…鈴木  照/30
動脈穿刺・カテーテル留置
橈骨動脈・足背動脈 医療…深田 智子/32
診療…尾藤 博保/36
2 モニタリング編/41
心電図
全誘導,CM5,ハートスコープ 医療…多保 悦夫/42
診療…阿部 文明/44
血圧測定
間接法 医療…小倉 真治/48
診療…西川  望/50
直接法 医療…平川奈緒美ほか/52
診療…新堀博展ほか/54
体温測定 医療…服部尚士ほか/56
診療…大竹 哲也/60
動脈血酸素飽和度 医療…猪股 伸一/62
診療…武田 明雄/64
呼吸のモニタリング 医療…尾崎 孝平/66
診療…栗原雄二郎/68
血液ガス分析 医療…櫻木 忠和/70
診療…伊澤 仁志/72
3 気道編/77
麻酔用マスクの使い方 医療…佐藤 二郎/78
診療…藤田  尚/82
エアウェイの使い方 医療…益田 律子/84
診療…菊池 恵子/86
ラリンゲルマスクの使い方 医療…中沢 弘一/88
診療…馬場 浩介/90
気管内チューブの挿入・留置
喉頭鏡を用いて 医療…守田 敏洋/94
診療…北村 参治/98
気管支鏡を用いて 医療…竹内 昭憲/102
診療…篁  武郎/104
左右別気管支チューブの挿入・留置 医療…安元 正信/106
診療…大和田哲郎/110
気管穿刺・切開法 医療…中溝 宗永/112
診療…小林 正雄/114
4 心臓編/117
心機図 医療…輪嶋善一郎/118
診療…櫻谷 憲彦/122
心エコー図
経胸壁法 医療…大野忠明ほか/126
診療…小林 徳行/128
経食道法 医療…藤本 啓子/132
診療…宮脇  宏/134
大動脈バルーンパンピングの手技 医療…池崎 弘之/138
診療…保坂 浩希/140
PCPS法の実際 医療…西田  博/144
診療…曽根 孝仁/148
5 肺臓編/151
麻酔科領域の打・聴診法 医療…杉本季久造/152
診療…大越麻里子/154
胸腔穿刺法 医療…小井土雄一/158
診療…依光たみ枝/162
胸腔ドレナージ 医療…多河慶泰ほか/164
診療…結城 禎一/166
胸腔鏡検査法 医療…池辺 晴美/170
診療…田上  正/172
6 中枢編/177
麻酔深度の判定法 医療…土井 松幸/178
診療…高橋  浩/180
脳波の取り方 医療…松本美志也/184
診療…二永 英男/186
脳血流量のモニタリング 医療…青野 光夫/188
診療…竹中 元康/190
7 腹部編/193
胃カテーテルの挿入・留置法
麻酔中 医療…本郷  卓/194
診療…斉藤勇一郎/196
胃洗浄法 医療…平井 勝治/198
診療…中野  実/202
腹腔内穿刺法 医療…原田尚重ほか/204
診療…宮内 善豊/206
腹部エコー法 医療…美濃部かおり/208
診療…亀上  隆/212
8 腎臓編/215
膀胱内カテーテルの留置法 医療…服部 智任/216
診療…渡辺  巌/218
9 代謝・筋肉編/221
体温維持の方法 医療…松川  隆/222
診療…設楽 敏朗/224
人為的低体温誘導法 医療…前原 康宏/226
診療…和泉 博通/228
筋弛緩モニタリング 医療…増田 裕一/230
診療…長尾乃婦子ほか/232
索引/235

麻酔の臨床は,知識と技術が車の両輪となって,これを支えている。麻酔科学の知識に関しては,多数の麻酔科学教科書が刊 行されており,また麻酔指導医試験もあり,一定水準の内容が麻酔科医に行き渡っている。しかし麻酔の技術となると大変な違いがある。小生は初めて麻酔指導 医の実地審査委員を命じられた折りには,各大学や施設による違いに仰天したことを鮮明に記憶している。ある施設では,成人でも全例緩徐導入(slow induction)をしていた。またある施設では筋弛緩薬はd-ツボクラリンしか使っていなかった。またある施設では麻酔導入時の酸素供給は毎分1リッ トルに限っていた。

技術は指導者から生徒へと伝えられるのであり,技術の違いは個性とも考えられる。技術の違いが悪いこととは一概には言い難い。しかし,技術も可能な限り 公開して,お互いの批判を仰ぎ,改善する部分があれば改善することが望ましい。このことはまた医療サービスの質の均等化(global standard)につながるとも考えられる。そこで「麻酔のHow to」の刊行を企画した。

今回は技術編であり,同一の主題の下に2名にお願いした。その理由は「技術」には大変な偏り(variation)が隠されているからである。2名を医 育機関と診療機関から選んだのは,最も違いが現れやすいと考えたからである。執筆者には臨床の現場にいる方々,医育機関では助教授・講師・助手,診療機関 でも若い方,にお願いした。しかし学会認定医(麻酔指導医,集中治療専門医,救急認定)の資格保有者とした。各執筆者のテーマは学会での発表, MEDLINE による論文の参照,小生の独断などによった。

大変短い期間の執筆であったが,各執筆者のご尽力で原稿が容易に集まった。原稿を拝見すると内容が大変闊達であり,現場の息吹が感じられる。また図表,写真が多いため臨場感溢れている。

読者において,もし本書の内容に意見(異見:見解の相違)があれば,迷わずご指摘願いたい。執筆者との論争を積極的に仲介したい。ディベートこそ編集者の最も望むところである。

この技術編を皮切りに,診断編,処置編を発行したいと考えている。若い方々に執筆をお願いしたい。どうぞその節にはご協力を願いたい。

2001年春 東京にて  小川 龍